2020 Fiscal Year Research-status Report
三量体Gタンパク質を介した心不全進展の新規発症機序の解明と治療法の開発
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20K17077
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
稲住 英明 京都大学, 医学研究科, 医員 (10844037)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心不全 / Gタンパク |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は独自に開発した心不全モデルマウスを解析することにより、心血管病における役割が明らかでなかった抑制性Gタンパクαサブユニット(Gαi/o)ファミリーのサブタイプの一つであるGαoが、不全心室筋で発現増加し、心不全の発症・進展に寄与するという新知見を見出すに至っている。 本申請研究は、Gαoの発現増加が心不全の発症、進展にいたる分子メカニズムについて、刺激を加えた培養心室筋細胞や心不全モデルマウス由来の心室筋を用いた生化学的、分子生物学的手法により明らかにすることで、新規心不全治療・予防法の開発を目指すものである。 当該年度ではラット心筋芽細胞ならびにラット新生仔心室筋細胞を用いてin vitroの解析を行った。 エンドセリン、アンギオテンシン、フェニレフリン等の刺激を加えるとラット心筋芽細胞、ラット新生仔心室筋細胞の両方においてGαo遺伝子発現が用量依存的に上昇することを確認した。 またエンドセリン、アンギオテンシン、フェニレフリンを負荷すると、ANP、BNP等の心肥大、心不全の指標となる遺伝子発現の増加が起こるが、siRNAを用いたGαoの遺伝的抑制によりそれらの発現が抑制されることを確認した。これまでvivoでの全身のGαoの遺伝的抑制が心不全進展を抑制することを示してきたが、同様の効果が心室筋細胞のみにおいても生じていることが確認できたため、心筋特異的にGαoの発現や活性を抑えるような治療介入を行うことでGαoの発現が多い脳神経系の副作用を回避することも可能であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
各種刺激でGαon発現が上昇し、その遺伝的抑制が不全心筋の指標となる遺伝子発現を抑制することは示せたがより詳細な分子メカニズムに迫ることはできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
RNAシークエンス等を用いた網羅的な遺伝子発現解析やGαoと共沈したタンパクの質量分析を行うことでGαoが心不全を引き起こす分子メカニズムに迫る。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で学会参加が減ったため。 当該実験に使用するマウスの維持にかかる費用を他の予算から使用していたためそれに補填する。
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Research Products
(3 results)
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[Presentation] NRSF-GNAO1-CaMK2 axis exacerbates cardiac remodeling and progresses heart failure by impairing Ca2+ homeostasis2020
Author(s)
Hideaki Inazumi, Yoshihiro Kuwabara, Koichiro Kuwahara, Yasuaki Nakagawa, Hideyuki Kinoshita, Kenji Moriuchi, Hiromu Yanagisawa, Toshio Nishikimi, Miku Oya, Mitsuhiko Yamada, Toshihide Kashihara, Nagomi Kurebayashi, Masami Sugihara, Kazuwa Nakao , Takeshi Kimura
Organizer
European Society of Cardiology (ESC) 2020
Int'l Joint Research