2021 Fiscal Year Annual Research Report
心筋病理解析を用いたFallot四徴候症修復術後の突然死の新たな予測法の確立
Project/Area Number |
20K17085
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石北 綾子 九州大学, 大学病院, 学術研究員 (60829232)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ファロー四徴症修復術後 / 肺動脈弁閉鎖不全症 / 右室心筋線維化 / 非侵襲的画像評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓外科手術の進歩により以前は救命できなかった先天性心疾患患者の多くが成人期まで到達できるようになった。しかし、多くの場合は「根治」したわけではなく、術後の合併症・遺残症・続発症を伴うことが少なくない。本研究では、チアノーゼ性先天性心疾患の中で最多であるFallot四徴症の修復術後遠隔期の突然死予防の治療戦略を明確化することを目的としている。 Fallot四徴症修復術後遠隔期の患者からカテーテルを用いて右室心筋を採取し病理学的に評価を行った。ヘマトキシリン・エオジン染色法を用いて行った右室心筋サイズの評価では、右室心筋は中等度肥大(右室心筋横径の中央値 17マイクロメートル)していた。マッソン・トリクローム染色法を用いて行った右室心筋の線維化評価では、中等度-高度(線維化率の中央値16 %)の右室心筋の線維化を検出した。 この右室心筋の線維化はFallot四徴症修復術後の突然死と関係があると既に報告されている。右室心筋の線維化を検出できる非侵襲的画像評価はないか探索を行った。心臓MRI検査での右室容積評価においては、右室拡張末期容積係数・右室収縮末期容積係数いずれも右室心筋の線維化率と有意な相関関係を認めなかった(各々R=-0.24, R=-0.24 )。また心臓MRI検査での遅延造影像はいずれも右室流出路に認められ線維化の寡多とは関係を認めなかった。遅延造影C T検査で測定した細胞外容積分画や心臓M R I検査でのT1マッピングから測定した細胞外容積分画が右室心筋線維化と相関を認めた(R=0.64)。 本研究においてはいずれの症例も中等度以上の肺動脈弁閉鎖不全症を呈していた。しかしながら、肺動脈弁閉鎖不全症の重症度と右室心筋線維化率に相関関係は示されなかった(R=-0.39)。
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