2020 Fiscal Year Research-status Report
心筋梗塞後左室リモデリング における修復性単球による心臓組織修復機序の解明
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20K17086
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
香月 俊輔 九州大学, 大学病院, 医員 (60641016)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 心筋梗塞 / 心臓組織修復 / 炎症 / 単球 / ワクチン / オミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
1) Red-greenマウスの梗塞後心筋における炎症性単球、修復性単球の存在部位心臓組織修復の空間的、時間的関係の検証 左前下行枝を結紮したマウス心筋梗塞モデルをCX3CR1+/GFPCCR2+/RFPダブルノックインマウス(Red-greenマウス)を用いて作成した。以前の報告では梗塞後3日目で炎症性単球の、7日目で修復性単球の心筋への集積がピークとなる(Nahrendorf, Swirski, JEM 2007)。この実験結果をもとに心筋梗塞後3日目、7日目に心筋を採取し、3日目にRFP陽性のCCR2陽性単球が、7日目にGFP陽性のCX3CR1陽性単球が虚血心筋に集積することを確認した。
2) 梗塞後心筋への修復性単球の集積における炎症性単球による急性炎症の関与の検証 修復性単球の病変部への集積に先行する炎症性単球の除去のため血中にLy-6C抗体を誘導するLy-6Cワクチンを大阪大学大学院健康発達医学との共同研究により開発した。当ワクチンはB細胞エピトープを含むペプチドワクチンであり、ペプチドとキャリア蛋白であるKLHのconjugateを、免疫応答強度を高めるアジュバントとともに、2週ごとに計3回の皮下注射することにより、十分な抗体価が得られることが報告されている(Nakagami, Hypertension 2018)。Ly-6Cワクチンを2種類作製し、現在抗体価の測定を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大により実験時間が制限された。Red-greenマウスの交配率が低く、実験に必要十分なマウス数の確保が困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
Red-greenマウスの繁殖規模を拡大し実験に必要十分なマウス数を確保する。Red-greenマウスの心筋梗塞モデルを用いて、心筋の梗塞部位、非梗塞部位におけるCCR2陽性単球、CX3CR1陽性単球の分布と、線維化/microvesselとの空間的関係を検証する。ワクチンによる炎症の収束と心臓組織修復の評価のため、野生型マウスを用いて、(1)病理学的に心筋梗塞サイズの定量、(2)近赤外線蛍光イメージングにより、心筋におけるプロテアーゼ活性、アポトーシスを観察する。研究計画に従って、修復性単球の心筋への集積がピークとなる梗塞後7日目の心筋をコラゲナーゼ処理し、CCR2陽性単球、CX3CR1陽性単球をソーティングした後に、トランスクリプトミクス(RNA-seq)を施行する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大により実験時間が制限されたため、次年度使用額が生じた。遅延したRed-greenマウスの心筋梗塞の病理学的解析を次年度に行うこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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