2022 Fiscal Year Annual Research Report
下肢動脈の末梢閉塞性動脈疾患に対する血管内治療後の血管における病理学的検討
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20K17097
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
鳥居 翔 東海大学, 医学部, 講師 (80816570)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 閉塞性下肢動脈硬化症 / 包括的高度慢性下肢虚血 / 病理 / 透析患者 / 内膜石灰化 / 中膜石灰化 / 経皮的血管形成術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、血管内治療後にも関わらず下肢切断、もしくは病理解剖となった検体を集め、治療後の血管を病理学的に検討する事で、現在日本で使用可能なデバイスの問題点を明らかにする事で、次世代のデバイス開発を促し、ひいては下肢閉塞性動脈硬化疾患を有する患者の下肢切断数の減少、予後改善を目指す事が目的であった。 研究開始後、終了時時点で77の検体を収集し、合計で2319枚の病理標本を作成した。 残念ながら当初の目標である”下肢動脈に対する血管内治療後”の検体に関して詳細に検討するほどの症例数は集める事ができなかったが、外国と比べ、本邦においては透析患者が血管内治療を受ける割合が高い事を反映し、当研究室で収集した検体も約半数は透析患者から採取したものであったこともあり、透析患者と非透析患者での動脈硬化の進行の違いについて焦点を絞って評価をした。 結果としては、透析患者は非透析患者と比べて患者背景としては大きな差がなかったにも関わらず、内膜の石灰化の程度が強い事は以前から報告されている通りであった{内膜石灰化の角度 4.9 (IQR, 0-47.0)° vs 0 (IQR, 0-26.3)° p = 0.03}が、今回我々の研究で明らかになって事として、内膜の石灰化の違いよりも中膜の石灰化において透析患者と非透析患者との違いが顕著であった{中膜石灰化の角度 280.5 (IQR, 102.4-331.2)° vs. 12.1 (IQR, 0.6-80.7)°, p < 0.0001}。 また、特に非透析患者の膝下病変においてはその差が顕著であり、以前の論文にて膝下と膝上の動脈の動脈硬化の進展の違いについては報告は認めていたが、その違いにおいて透析という因子もかなり強力であり、石灰化のメカニズムについて重要な役割を占めていることが示唆された。 同結果は2022年日本循環器学会学術集会で発表し、現在は論文投稿中である。
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[Presentation] Pathological analysis of hemodialysis’ impact on medial and intimal calcification for lower extremity artery disease2022
Author(s)
Tsukasa Kato, Sho Torii, Norihito Nakamura, Kazuki Aihara, Yuta Terabe, Osamu Iida, Takahiro Tokuda, Tatsuya Nakama, Yo Kawahara, Junichi Miyamoto, Takafumi Saito, Norihiko Kamioka, Tsutomu Murakami, Takeshi Ijichi, Makoto Natsumeda, Shigemitsu Tanaka, Yohei Ohno, Gaku Nakazawa, Hiroyuki Watanabe, and Yuji Ikari
Organizer
第86回 日本循環器学会学術集会
Int'l Joint Research