2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K17107
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松原 巧 東京大学, 医学部附属病院, 特任臨床医 (60824836)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 心臓マクロファージ / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
心臓マクロファージの分化マーカーであるAregに着目し、Gpr65がAreg発現に関与することをこれまでに明らかにしている。これまでにGpr65ノックアウトマウスではフローサイトメトリー解析にて未分化マクロファージが増加する傾向があることを明らかにし、Gpr65ノックアウトマウスの骨髄細胞を用いた骨髄移植では骨髄移植後のマウスで心拡大と心機能低下が起こることを明らかにしている。またGpr65が脂肪酸の受容体であることもin vitroの実験系で明らかにした。 今回、Gpr65のリガンドである脂肪酸の産生に関与する遺伝子がPla2g5であることを明らかにした。局所的に高濃度の脂肪酸が分化に必須と考えられたため、心筋細胞特異的にPla2g5をノックアウトし心筋細胞表面でのみ脂肪酸が減少するマウスを作成し、解析を行った。このコンディショナルノックアウトマウスでは心機能に異常を認めない段階にあっても、フローサイトメトリーで未分化マクロファージが増加していることが明らかになった。同マウスについてはシングルセルRNAシーケンスも行ったが、RNAシーケンスでも未分化マクロファージが増加することが確認された。 現在、Pla2g5のコンディショナルノックアウトマウスについて、ノックアウト後の飼育期間を延長して心機能及び心臓マクロファージの分化度の解析を行っているところである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Pla2g5が心臓マクロファージの分化に関与することが明らかになり、また脂肪酸によるマクロファージの分化誘導についても明らかになった。 心臓マクロファージの分化誘導に必須と考えられるリガンドが脂肪酸であり、心臓マクロファージにおける脂肪酸受容体がGpr65であり、さらに脂肪酸を局所で供給するタンパク質遺伝子の同定に成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
心臓マクロファージの分化誘導における上流遺伝子の同定に成功した。 今後は下流遺伝子についての検討も引き続き行っていく。 具体的にはコンディショナルノックアウトマウスについて、未分化マクロファージと成熟マクロファージとの間で遺伝子発現の比較を行い下流の転写因子の同定を目指す。候補となった転写遺伝子はin vitroでのノックアウトで評価し、心臓マクロファージの分化に必須の転写因子を同定した後はin vivoでのノックアウトを行う予定である。
|
Causes of Carryover |
一時的な実験の制限期間があったことで、コンディショナルノックアウトマウスの繁殖に時間を要したため、予定していた実験スケジュールの変更を余儀なくされたため。
|