2021 Fiscal Year Research-status Report
SNTA1変異による早期再分極症候群発症メカニズムの解明に関する研究
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20K17113
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
加藤 浩一 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (70736983)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 遺伝性不整脈 / QT延長症候群 / ブルガダ症候群 / 心臓イオンチャネル / カルモジュリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Brugada症候群とそれに類似した病型をとる家系に同定されたイオンチャネル結合タンパクαシントロフィンの遺伝子、SNTA1の遺伝子変異を解析してきた。しかし、培養細胞系(HEK293)で、同定された変異がもたらすNa電流の減少程度がわずかであったことと、患者からのiPS細胞作成の協力が得られなかったことから、iPS実験自体は実施しない方針となった。我々はこれに並行して、SNTA1以外のチャネル結合タンパクに関しても遺伝子変異の検索と機能解析を行っていたが、QT延長家系に同定されたカルモジュリンのコード遺伝子CALM3の変異の機能解析では、L型カルシウム電流の減衰時間の延長という、より有望な結果が得られた。そこで、リソースの一部をCALM3の解析に振り分けて、機能解析を継続した。 得られた主な結果は、1)カルモジュリン変異 p. N138Kは既報のCaM変異同様L型カルシウム電流の不活性化を障害する、 2)変異カルモジュリンのカルシウム結合能は低下しているが既報の変異に比べると程度としては軽く、それがこの変異が見つかったQT延長家系が重症化しにくかった原因の一つと推察される、 3)カリウム電流にも影響を与え、IKs電流増加に寄与する、の主に3点であった。これらの結果をまとめ、本年3月に論文として上梓した。(Kato et al Circ Arrhythm Electrophysiol. 2022 Mar;15(3):e010572) また、この研究の過程で新たにBrugada症候群家系にSCN5A遺伝子変異を同定し、これが、Splicing異常を引き起こすことが想定された。これに対して、別個にMinigeneを用いたSplice reporter assayを行っており、次年度以降もアンチセンス核酸を用いた修復実験も予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画のプロジェクトでは思い通りの結果が出られなかったものの、同じMethodologyで並行して進めていた計画で複数の有望な結果が得られ、一部は論文として形になり、他の一部は継続して発展しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
プロジェクトの過程で新たに見つかったSCN5A異常について、さらに解析を進め、疾患発症のキーとなるメカニズムの解明を目指す。
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Causes of Carryover |
2021年度に実施予定であった実験の一部が、電気生理学実験装置の引っ越し移転のためしばらく実施できなくなったため、それに必要な機器類や試薬の購入を見合わせた。 2022年の6月以降引っ越しが完了するので、そこから電気生理学実験を再開する予定である。
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Research Products
(6 results)