2021 Fiscal Year Annual Research Report
小児がんサバイバーにおける心血管病変とDNA損傷との関連
Project/Area Number |
20K17123
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
八重樫 大輝 福島県立医科大学, 医学部, 助手 (50866225)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 小児がんサバイバー / DNA損傷 / がん治療関連心機能障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的はDNA損傷/DNA損傷応答と小児がんサバイバーの晩期合併症との関連を明らかにすることである。 小児がんサバイバー106例を対象として解析を行った。年齢の中央値は21.1歳で、原疾患は白血病 (68.7%)、骨肉腫 (7.2%)、神経芽腫 (4.0%)などであった。小児がんサバイバー群全体と健常群との間では末梢血単核球の二動原染色体(DIC)数に有意差は認められなかったが、小児がんサバイバー群においてDICが多い症例が目立った。そこで小児がんサバイバー群の中で解析を進めたところ、DIC量はアントラサイクリンの累積投与量と正の相関を認めた。また放射線治療を受けた群においてDICは有意に多く、放射線量と正の相関を認めた。さらにがん治療関連心筋障害を発症した10例は、発症しなかった群と比較して有意にDICが多かった (5.52 (1.65-12.48) vs. 2.47 (1.25-4.94), P=0.029)。DIC数と年齢、性別、寛解・治癒後の期間などとの関連は認めなかった。 今回の結果から、小児がんサバイバーにおいて抗がん治療のゲノムへの長期的影響をDICにより推量し得ることが示唆された。抗がん剤などのgenotoxinに対する感受性には個人差が大きいため、DNA損傷の定量は小児がんサバイバーの長期フォローアップに際して有用なバイオマーカーとなり得る可能性がある。
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