2022 Fiscal Year Annual Research Report
Study on pathophysiology and therapeutic development of HFpEF using ABPM and BIA
Project/Area Number |
20K17126
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
上田 友哉 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (80755538)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | BIA / CS / 急性心不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究期間中に当院ではCOVID-19感染症患者の入院が優先され、一般病床では厳しい入院制限が行われたため予定よりも心不全の入院患者数は大幅に減少し、ABPMも施行困難であった。このため今回はBIAが施行できた患者を、クリニカルシナリオ(CS)別に分けた検討のみを行い、ABPMを用いた研究は継続することとした。 急性心不全のため入院し、入院時および退院時にBIAが測定された、CS3を除く90名を対象とした。平均年齢は75.3歳で、男性が63名であった。90名を来院時の収縮期血圧によりCS1群(38名)およびCS2群(52名)の2群に分けて検討した。 その結果、年齢、性別および併存疾患に差はなく、心房細動の既往歴および心不全入院歴がCS2群で有意に高かった。血液検査の各項目にも有意差は認めず、心エコー所見においてLVEFは両群間で同等であったが、LA volumeはCS1群よりもCS2群で有意に高値であった(P<0.01)。入院期間中における利尿薬の増量に両群間で差はなかった。BIAに関して、入院時と退院時のECW/TBW比は、いずれも両群間で有意差はみられなかったが、入院時から退院時までのETC/TBW比の変化量はCS1群に比べて、CS2群で有意な低下がみられた(P=0.038)。 今回の結果ではCS2群において、入院中にECW/TBWの有意な低下がみられており、これは体液貯留の改善を示唆する所見と考えられた。一般的にCS1は体液のセントラルシフトが主体で体液貯留は必ずしも認められないが、CS2は全身性の体液貯留が主体であるとされている。今回の結果は、この概念とも矛盾しないものであった。 本研究において、BIAの結果からCS1とCS2の体液貯留量のバランスに差があることが確認された。今後はABPMの結果も踏まえ、心不全の各タイプにおける体液バランスについての検討が重要である。
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Research Products
(1 results)