2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒト多能性幹細胞からの効率的な心筋細胞分化に向けた新規低分子化合物の開発
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20K17129
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
岸野 喜一 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (20594568)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 再生医療 / ヒトiPS細胞由来心筋細胞 / BMPシグナル / 低分子化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
①in silicoパイロットスクリーニングで選出した候補化合物の有効性評価 約80万個の化合物データベースライブラリーから,標的因子の構造に基づいたpharmacophore及びドッキングスコアを用いて行ったパイロットスクリーニングにより選出された候補化合物の有効性評価を行った。評価系としては,ヒト細胞株HEK293とBMPシグナル下流遺伝子Id-1プロモーターを有する既知のBMP反応性ルシフェラーゼベクターを用いたルシフェラーゼアッセイ及びヒトiPS細胞の心筋分化誘導系を用いた。実際に選出した低分子化合物を添加し,FACS,PCR,免疫染色などを用いて定量的に評価した。ヒトiPS細胞に同定した化合物を添加した結果, BMPシグナル下流遺伝子のId-1の発現増加を認め, 心筋細胞への分化系においてはトロポニンT陽性細胞の増加を認めた。
②in silicoフルスクリーニングによる候補化合物の選出 パイロットスクリーニングで得られた候補化合物の有効性評価結果を踏まえて,さらに低濃度で効果の高い化合物を選出する為,大規模化合物データベースを用いたin silicoフルスクリーニングを行った。具体的には,化合物の化学構造式と①で得られたBMPシグナル相対活性値から,ソフトウェアAutoQSARを用いて,定量的構造活性相関式の算出を行い,約800万個の化合物を含むライブラリーから,さらに高い効果を示し,かつリード化合物の条件を備えた化合物を選出した。次に,パイロットスクリーニング時同様に,選出された候補化合物と標的因子ドメインとのドッキングスコアを算出し,GBVI/WSA_dGを用いた結合親和性の評価をin silicoで行い,50個の候補化合物を選出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究実施計画に基づいて研究が進行出来ている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,標的因子の立体構造に基づいたin silicoフルスクリーニングで選出した候補化合物の有効性をヒト細胞株HEK293を用いたBMP反応性ルシフェラーゼアッセイやヒトiPS細胞の心筋分化誘導系を用いて,再度定量的に評価する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の予定よりも順調に結果が確認出来た為。また、コロナ渦の影響で一時的に研究運営規模を制限せざるを得ない状況があった為。繰り越し分と併せて、本年度研究計画の化合物有効性評価をより多角的に行うことも検討する。また、購入化合物範囲の拡大も検討する。
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