2020 Fiscal Year Research-status Report
心外膜肥厚と心筋線維化の機序解明 STAT3/SOCS3系に焦点をあてた解析
Project/Area Number |
20K17134
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
楊井 俊之 久留米大学, 医学部, 助教 (50811072)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | SOCS3 / JAK-STAT経路 / 心外膜炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究室における平滑筋特異的SOCS3ノックアウトマウス(KO)を使用した研究過程の中で、野生型マウス(WT)と比較しKO群では有意に心外膜の肥厚と心筋線維化の増強を認め、さらに生存率にも有意差を認めていたことに着目した。本研究では心外膜肥厚と線維化に平滑筋細胞のSTAT3/SOCS3経路の関与を明らかにすることを目的とし実験を行った。 本研究では、雄の野生型マウス(WT)と平滑筋特異的SOCS3ノックアウトマウス(KO)に対し、加齢による経時的変化(若年モデル:8週齢、半年モデル:26~30週齢、1年モデル:52~56週齢)を評価した。まず、WT、KOマウスの生存率をKaplan-Meier法で統計してみると、WT群に比較してKO群では有意に死亡率が高かった。体重は若年モデルより有意差が出現(WT>KO)し、加齢に伴いその差がより顕著となっており、各種臓器重量の体重比はKOで有意に大きく、心不全による臓器うっ血を示唆している可能性が考えられた。エコー検査では、8週、半年、1年モデルのWT、KOともに左室駆出率(EF)は保たれていたが、WTに比較しKOでは拡張障害の出現を示唆する結果となった。若年モデルからKO群において心外膜および結合組織の増殖を認めており、加齢に伴いより顕著となっていた。組織学的には、シリウスレッド染色により、加齢に伴いKO群でより心外膜の肥厚および心筋の線維化が顕著となっていることが示され、Western Blotによるタンパク解析ではWTと比較しKOではP-STAT3の活性化を認めており、形態変化においてSOCS3が関与している可能性が示された。さらに、PCR Arrayでは加齢に伴い線維化マーカーが有意に上昇していることも示され、KO群では加齢に伴い線維化が亢進することで様々なフェノタイプが出現していることを示唆する結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症蔓延のため、研究室での研究活動にも制限が入った上に臨床業務の兼業も始まったため、進捗状況は遅延している。本学施設の動物実験センターにおいても研究活動の制限ならびに施設職員の人数制限に伴い、マウスの交配、繁殖、管理も予定通りには進まず、実験計画の実行が困難であった。 その制限の中でもこれまでに得たデータの再現性、信憑性を深めるため、新規実験ではなくこれまでのデータを再集計し、また施行数を増やすことを行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究活動の制限が継続している中ではあるが、マウスの交配、飼育も再開はしている。しかしカテーテルによる血行動態評価に関しては、実験手技の取得のため他施設への見学、研修も検討していたが、社会情勢も考慮し断念したため、それにかわる評価方法を模索している。特に本研究で使用している平滑筋特異的SOCS3ノックアウトマウスにおけるCre発現部位の特定、およびその程度に関しては、IL6負荷によりその局在を示すことを検討し、先行研究にならい再現性に富んだ方法を模索している。
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Causes of Carryover |
計画通りに実験が進めなかったため残額が生じた。翌年度で実験継続する貯めに残額を使用する予定としている。 実験動物の管理や試薬、抗体などに使用する。
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[Presentation] Smooth muscle cell-specific SOCS3 deficiency promote pericardial fibrosis and diastolic dysfunction in aging mice2020
Author(s)
Toshiyuki Yanai, Hideo Yasukawa, Kazutoshi Mawatari, Tomoko Sasaki, Jinya Takahashi, Shoichiro Nohara, Koutatsu Shimozono, Tatsuhiro Shibata, Kota Okabe, Mai Yamamoto, Yoshihiro Fukumoto
Organizer
ESC Congress 2020 The Digital Experience
Int'l Joint Research