2022 Fiscal Year Research-status Report
心外膜肥厚と心筋線維化の機序解明 STAT3/SOCS3系に焦点をあてた解析
Project/Area Number |
20K17134
|
Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
楊井 俊之 久留米大学, 医学部, 助教 (50811072)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | SOCS3 / JAK/STAT / 収縮性心膜炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究室における平滑筋特異的SOCS3ノックアウトマウス(KO)を使用した研究過程の中で、野生型マウス(WT)と比較し、KO群では有意に新外膜の肥厚と心筋線維化の増強を認め、さらに生存率にも有意差を認めていたことに着目した。本研究では心外膜肥厚と線維化に平滑筋細胞のSTAT3/SOCS3経路が関係していると考え、そのメカニズムを明らかにすることを目的としている。 本研究では、雄のWT群とKO群とで加齢による経時的変化を評価した。まず、生存率を比較すると、WT群に比較してKO群では有意に死亡率が高かった。また、KO群ではWT群と比較して、肉眼像では明らかに心臓は肥大しており、心外膜および結合組織の増殖を認め、心エコーではEFは保たれていたものの拡張障害が出現していた。組織学的にはシリウスレッド染色でKO群では若年時より心外膜肥厚および心筋線維化を認め、加齢に伴いより顕著となった。PCR ArrayではKO群では加齢に伴い線維化マーカーの有意な上昇を認めていた。ここで、IL6を投与し、STAT3の活性化が持続する細胞の局在を確認するため確認を行ったところ、P-STAT3とαSMAとの蛍光二重染色では血管周囲、心外膜周囲で平滑筋細胞でのSTAT3活性化の持続ははっきりしなかった。 以上より、KO群は加齢に伴い心外膜の肥厚や心筋繊維化が起こり、拡張能の低下をもたらすが、その原因として平滑筋細胞というよりも線維芽細胞の関与も考えられ、P-STAT3とERTR7との二重染色を行い局在を確認した。その結果、ERTR7でのSTAT3活性化の持続が示された。この結果より、KO群では平滑筋細胞というよりも線維芽細胞でのSTAT3活性化の持続が関与している可能性が考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響で研究所使用の制限や臨床業務の増加などあり研究の進行は遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現段階での研究成果をまとめ学会発表を行い、ディスカッションを行った上で再検討し最終的に論文化する方針としている。
|
Causes of Carryover |
海外学会(AHA2022)への演題投稿を行ったものの不採択となり旅費として使用を予定していた額が残額となった。今後はAHA2023への再投稿を検討している。
|