2020 Fiscal Year Research-status Report
特発性拡張型心筋症の遺伝子異常と心エコー表現型を用いた機械学習による分類法の創出
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20K17140
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山本 昌良 筑波大学, 附属病院, 病院講師 (20730386)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心不全 / 心臓超音波検査 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
若年発症の多いDCMは本邦において難治性心不全の主たる原因であり、その病態解明は取り組むべき重要な課題である。特発性心筋症患者の発症にはラミンやタイチンといった心臓構成要素の遺伝的要因の関与も重要であることが近年報告されている。しかし、QT延長症候群など遺伝性不整脈疾患に見られる特定の遺伝子異常genotypeと臨床病型phenotypeとの強い関連は、DCMでは未だ見出されていない。この原因の1つに、臨床検査法の開発の遅れが考えられる。心臓の構造的機能的疾患であるDCMの再分類には、心エコー計測法によって表現型が特徴付けられる可能性がある。仮に、特定の遺伝子異常が、「左室拡大と機能障害とともに心房リザーバストレイン低下を伴うタイプ」や「強い右室ストレイン低下を早期から合併して難治性両心不全として発症・経時的に進行するタイプ」などという心エコー表現型とその経時的特徴と関連するなら、「心房機能低下優位DCM」や「両心室型DCM」などの亜型分類が可能かもしれない。また、これらの臨床亜型分類に当たっては、人工知能を用いて教師データのない機械学習によりクラスタリングの手法を応用する。本研究の目的は「DCM症例の遺伝子異常と高機能心エコーによる表現型の組み合わせによるDCMの細分類法を機械学習により創出できるか」にある。また、各分類と①予後 ②心筋リバースリモデリングとの関連を明らかにし、将来のプレシジョン・メディシンの基盤を作ることである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年においては当院で2013年~2019年までに施行された心エコー図検査から解析の基礎となる心エコーのデータベースを作成した(総検査件数 68623件 患者数 28611症例)。また、研究の候補となる患者の選別を行った。筑波大学人工知能科学センターのスタッフと定期的にミーティングを行い、今後の解析方法についてのミーティングを行った。また、遺伝子解析を行うため、当院の倫理委員会にて審査を受け提出し、承認を得た。(研究題目:循環器診療におけるゲノム医療の確立)倫理審査の申請・承認、プラットフォームの構築などに時間を要したため研究に遅れを生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
データベースから選別した当院に通院中の患者、もしくは新規の心不全症例から同意を得た後に前向きに患者登録を行い、研究計画に従い遺伝子的解析や心エコーによる解析を行う。
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Causes of Carryover |
倫理審査の通過や研究方法に関する具体的な検討に時間を要し、遺伝子解析に関する検査が未実行であり、遺伝子解析に対して計上した物品費が使用できず、次年度使用額が生じた。次年度に今年度までに行う予定だった実験も効率的に行い、遅れを取り戻す予定である。
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