2020 Fiscal Year Research-status Report
早期再分極による心房性不整脈基質に関する多面的解析と新たな治療戦略の構築
Project/Area Number |
20K17142
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
長谷川 祐紀 新潟大学, 医歯学総合病院, 客員研究員 (00870099)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心房細動 / 早期再分極 / カテーテルアブレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
早期再分極は、12誘導心電図において下側壁誘導のうち2誘導以上でJ点上昇とそれに続くST上昇を認める所見である。健常人にも10%前後で認めるとされているが、一部で心臓突然死と関連があることが報告され、早期再分極症候群と呼ばれる。さらに早期再分極所見が様々な心疾患との関連が報告されているが、心房細動もその一つである。心房細動は最も日常臨床でみる不整脈の一つで、本邦では年間で5万人近くのアブレーション治療が行われている。アブレーション治療による肺静脈隔離術は一定の効果を有しているが,1年以内の再発率が発作性では20~30%とされ、その効果は不十分である。その主たる原因として、肺静脈以外の心房細動起源(non-PV foci)の存在が指摘されているが、その中に早期再分極をもつ症例が含まれているものと推測される。実際に早期再分極所見がアブレーション治療後の心房細動再発リスク因子であったとの報告もある。しかしながら統一した見解は得られていない。 本研究では、早期再分極所見をもつ心房細動患者の特徴を明らかにすることを目的としている。まず、過去の心房細動患者における、早期再分極所見を持つ患者のホルター心電図の特徴を調査した。その結果、夜間の発作が比較的多い傾向がみられた。一部の患者群では心拍変動解析(HRV)を施行し、自律神経活動との関連についての調査を進めている。 また、前向きに患者を登録して、早期再分極所見をもつ心房細動患者の特徴や従来治療の効果を明らかにするための準備を進めている。当院を含む多施設で、心房細動に対するカテーテルアブレーション治療を行う患者を対象とし、一般臨床データ、電気生理学的所見、カテーテルアブレーション治療の成績について、早期再分極所見を持つ群と持たない群での差異を検討するため、倫理審査委員会への書類提出、患者リクルートの準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ホルター心電図の見直しや、心拍変動解析を用いた調査に時間を要し、当初の計画より患者登録の開始が遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
症例数は多施設で十分確保できる予定であるため、予定通り登録を進めていく。
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Causes of Carryover |
昨年度の物品費が研究進捗の遅れにより想定より少なかったため次年度での購入予定としている。カテーテルアブレーションやデータ解析に伴う物品の購入に使用する予定である。COVID-19に関わる社会情勢に伴い、出張費が予定より少なかった。
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