2020 Fiscal Year Research-status Report
最適な患者選択と圧設定を行った非侵襲性用圧呼吸治療が心不全患者の予後に与える影響
Project/Area Number |
20K17143
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
今村 輝彦 富山大学, 学術研究部医学系, 講師 (80746652)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 血行動態 / うっ血 / 心不全 / 非侵襲性陽圧換気 |
Outline of Annual Research Achievements |
うっ血性心不全患者に対して非侵襲性陽圧換気治療を行う際、適切な圧設定が治療効果に極めて重要である。無呼吸を治療しようと高い圧設定で管理してしまうと逆に心拍出量を減少させてしまうことが知られているし、一方で低すぎる圧設定では治療効果が十分に期待できない。しかしながら、適切な圧設定を行うための方法論は確立されていない。
私は本研究で、非侵襲的に心拍出量を推定するデバイスを用いて、陽圧換気治療における圧設定を段階的に変化させ、心拍出量が最大になるような圧設定で管理する方法論の有効性を検討している。圧設定の最適化を行う際に、エスクロンミニという非侵襲的に心拍出量を推定できるデバイスを用いている。当初はうっ血の程度を定量化するRemode Dielectric Systemの使用を検討していたものの、心拍出量を指標に用いたほうがより予後へのインパクト強いと判断した。
今年度は患者登録作業を進め、現在までに10症例の登録に成功した。いずれの症例もうっ血性心不全をもち、かつ、利尿薬などの薬物治療に抵抗性を示す症例であった。圧設定を変更させることで心拍出量は劇的な変化を見せることが観察された。一般的な傾向として、低い圧設定では心拍出量の増加は期待できなかったが、圧設定を上昇させることで心拍出量の増加が観察された。しかしながらある一定以上に圧設定を高めてしまうと逆に心拍出量は低下した。そこで、心拍出量が最大になる圧に設定して、個々の患者の管理を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
圧設定を行う際の参考として、うっ血の程度を定量化できるRemote Dielectric Systemを用いる予定であったが、心拍出量を非侵襲的に推定できるデバイスのほうがより予後に対して大きなインパクトを与えると判断し、エスクロンミニというデバイスを用いることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き患者登録を進めるために、うっ血性心不全をもち、従来の薬物治療に抵抗性を示す患者をリクルートしていく方針である。また、最適な圧設定を施した非侵襲性陽圧換気治療を行っている患者に対しては、引き続き管理を継続してイベントの有無をカウントしていく。
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Causes of Carryover |
学会発表のための旅費がコロナ禍のために削減され、研究費の一部が次年度に繰り越しになった。登録する患者数を増やしたり、統計ソフトを購入する費用に充てたり、WEBでの学会参加を促進させて他の研究者との情報交換をより蜜に行っていきたい。
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