2020 Fiscal Year Research-status Report
肺細動脈内皮細胞に着目した肺高血圧症に対する新規治療戦略の開発を目指した病態解明
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20K17145
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 勝洋 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院助教 (10841950)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / 血管内皮細胞 / 次世代シークエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
肺高血圧症の主病変部である肺細動脈局所のシグナル異常に関して、依然として不明な点が多く、病態解明のためにはその異常を明らかにすることが必要不可欠である。本研究では、病態に関与する肺高血圧症の主病変部である肺細動脈内皮細胞を、独自に開発した方法を用いて単離し解析することで病因を明らかにし、病態解明のみならず肺高血圧症へ対するバイオマーカーの開発や新規治療戦略の開発につなげることを目的としている。現時点で以下のような実験の結果を得ている。 1、低酸素負荷誘発性肺高血圧モデルマウス及び正常圧下で飼育したマウスの両者より肺細動脈内皮細胞を単離し、RNAを抽出して次世代シークエンサーを用いて遺伝子発現量解析を行い比較検討を行なった。1000種類以上の遺伝子が有意に差次的に発現していることが明らかとなった。 2、差次的に発現を示す遺伝子に関して、パスウェイ解析やGene Ontology解析を行ったところ、細胞間接着、細胞外基質や血管新生に関与する分子が発現変動していることが明らかとなり、これらの分子が肺高血圧症の病態形成に関与していることが示唆された。 3、解析より得られた候補分子に関して、低酸素負荷誘発性肺高血圧モデルマウス及び正常圧下で飼育したマウスから肺組織を取り出し、免疫組織染色を行い発現量の評価を行なった。遺伝子発現量解析の結果と免疫組織染色の結果を比較検討して、候補分子の更なる選別を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
次世代シークエンサーを用いて遺伝子発現量解析より1000種類以上の遺伝子が有意に差次的に発現していることが明らかとなった。さらにパスウェイ解析やGene Ontology解析から候補遺伝子を絞り込んでいる。これらの達成度はと当初の研究計画の予定を考えると順調であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に行われた遺伝子発現量解析から得られた研究成果を踏まえて、以下の解析を行う。 1、候補分子を培養細胞を用いて細胞内シグナルの検証 2、肺高血症モデルマウスを用いた免疫組織学的な検証 3、ノックアウトマウスやアデノウイルスベクターを用いて、個体での検証
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Causes of Carryover |
COVID-19の蔓延のために動物を用いた実験に予想以上に時間を要した。そのため、遺伝子発現量解析の結果からの絞り込みの実験及び検証が2021年度にずれ込んだために次年度使用額が生じた。 抗体、細胞培養試薬、PCR試薬、siRNA試薬を購入予定
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Research Products
(6 results)