2021 Fiscal Year Research-status Report
重症虚血肢に対する細胞シート技術を応用した細胞塊注入法の再生治療効果の検討
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20K17150
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三宅 啓介 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60774495)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 下肢虚血 / 細胞シート / 細胞治療 / 骨格筋新生 / 血管新生 / 細胞外マトリックス / 細胞集塊 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス由来骨格筋筋芽細胞の細胞集塊をマウスの非急性下肢虚血モデルに対して投与する実験をこれまでに行ってきた。まず、今回の研究では、これまでの急性虚血モデルではない、慢性炎症に近い環境を作り、細胞治療効果を検証してきた。実際の重症虚血は慢性虚血・慢性炎症であることから、今回のモデルでは、炎症細胞の経時的変化まで追求して、モデルの安定性を検証した。今回の慢性炎症・虚血モデルにおいては、通常よく用いられる、細胞単体の筋肉内投与法は治療効果を認めなかった。このことは、実臨床において細胞治療がほとんど効果を示せていないことと一致する結果であった。一方で、我々が今回開発した、細胞集塊投与法は、同一の細胞種を用いながら、慢性炎症虚血モデルにおいて、すぐれた血管新生効果、骨格筋再生効果を示すことに成功した。さらに今回の研究では、細胞治療の炎症に対する影響まで踏み込んで研究を行った。具体的には、マクロファージの経時的な変化を数的変化ならびにフェノタイプの変化で評価を行った。マクロファージはin vitroでは、炎症性と抗炎症性のフェノタイプに明瞭に分けられると言われてきた一方で、in vivoにおいては、その中間ともいうべきフェノタイプが存在し、細胞治療の効果により、フェノタイプが一部が炎症性、一部が抗炎症性にpolarizationを起こすことで、治癒過程が進んでいくことが明らかとなった。 この研究成果は、Molecular therapyに研究結果が掲載されることとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究に関しては、概ね順調にすすんでいる。関連した論文を2本作成、投稿を実施しアクセプトされている。また、複数の学会でも研究成果の公表ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
人の重症虚血に対する細胞治療効果はこれまで十分な成果を上げることができておらず、本研究はその不十分な効果を解消するための手段を開発する研究であった。更に動脈硬化の進行を抑えることも重要な治療であることを考え、現在は、同細胞治療が慢性炎症にどのような影響を及ぼすかの検証をしている。更に、自家細胞ではない他家細胞を用いた細胞治療も検証すべき項目である。そのため、今後は、同様細胞集塊治療法を他の細胞種に応用し、その有効性を検証し、治験・臨床研究にむけた手続きを行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
主として学会発表の殆どがwebでの開催となったため、旅費をほとんど使う必要性がなかった。今後、学会参加に伴う旅費が生じる見込みであり、さらに、炎症に関連した研究の推進ならびに他細胞種をもちいた実験に予算を使用する計画である。
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Research Products
(3 results)