2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K17152
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
江本 拓央 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (80855023)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 動脈硬化 / 骨髄ニッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
計画通り、LDL受容体欠損マウスにおける高脂肪高コレステロール食負荷に対する骨髄の幹細胞前駆細胞の反応、そして血液中の単球の数を検討した。骨髄から放出されたLy6Chigh単球は、およそ1日周期で入れ替わっている。Ly6Chigh単球の一部は組織に入り、一部はアポトーシスし、一部はLy6Chigh→Ly6Cintermediate→Ly6Cnegativeへと変化する。組織に取り込まれたLy6Chigh単球は動脈硬化形成を促進することは明らかにされている。日内変動を考慮し、Ly6Chigh、Ly6Cintermediate、Ly6Cnegativeがそれぞれの分画の高脂肪高コレステロール食負荷での変化を4時間おきに観察すると、日内変動はするものの高脂肪高コレステロール食負荷群では、Ly6Chigh Ly6Cnegative分画共に通常食マウスより増加していることが分かった。Ly6Cnegativeの分画の方がその差は顕著であった。 増殖する細胞をラベルするBrdUを用いた検討にて、既報通り通常食マウスでは、絶食時に骨髄の単球が血液中に放出されないが(2019 Cell)、高脂肪高コレステロール食負荷マウスでは絶食時においても、単球は骨髄から次々と血液中へ放出されているということが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
自由に食事にアクセスできる状態の場合は、Ly6Chigh 単球の数は通常食と差がなく、単球の前駆細胞であるcommon Monocyte Progenitor(cMop)は減少していた。一方、絶食時には骨髄中では、Ly6Chigh 単球、cMop共に減少していた。これは単球、その前駆細胞とも増えているであろうという申請者の予想に反するものであった。 1、動脈硬化モデルマウスにおいて高脂肪高コレステロール食負荷すると通常食を食べている場合とは異なる経路で骨髄が成熟するようになる。さらには前駆細胞の由来が異なる単球は骨髄から血管へ放出されやすい。 2、高脂肪高コレステロール食負荷において骨髄での由来が異なる単球については、そのfunctionも異なり、動脈硬化層へ取り込まれて、炎症を惹起しやすくなっている可能性、また単球Ly6Cnegative単球が血液中で増えるという現象については、Ly6Cnegativeが単一のpopulationではなく、一部動脈硬化を惹起するpopulationをも含む可能性がある。
予想外の結果が出てきているところから、少し計画を変更した点もあり、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
骨髄における、免疫細胞の分化増殖はとても複雑に制御されている。フローサイトメトリーでは従来言われているマーカーで前駆細胞や単球を染色したときの細胞数/割合がわかるものの、従来示されているマーカーでの分類に頼るため、自ずと限界がある。そこで、シングルセルRNAシークエンス解析により複雑な前駆細胞から成熟した単球になるまでのどの経路のどこが活性化しているのかを解明する計画を考えており、ゲノム支援にてその解析を行う予定である。UMAPによる集団解析だけでなく、その成熟過程を見ることのできるvelocity解析を行うことでこの問いに答えることができる。また、ニッチのシングルセルRNAシークエンス解析と組み合わせることで、ニッチのどのような制御因子が、骨髄の単球の成熟過程を制御しているのかを明らかにできるであろう。
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Causes of Carryover |
2021年度にシングルセルRNAシークエンスをし、まとまったお金が必要であったため、2020年度は使用額を控えることとした。2021年度はシングルセルRNAシークエンスを行うため、残りの助成金を使い切る予定である。
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