2021 Fiscal Year Research-status Report
超長寿者を比較対象とした肺高血圧患者の遺伝子構造異常解析とリスク評価
Project/Area Number |
20K17162
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 寿人 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80783042)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 肺高血圧症 / 全ゲノム解析 / ゲノム構造異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、既知の肺高血圧症の原因として知られる、BMPR2, ENG, ACVRL1, RNF213などの遺伝子の病的バリアントが検出されなかった家系を対象に全ゲノム解析を行い、新規の原因遺伝子・病的バリアントを探索することを目的としている。全ゲノム解析では、エクソーム解析では検出困難な数百~数万塩基の欠失/挿入、コピー数多型などのゲノム構造異常を検出することができる。これらのゲノム構造異常をDRAGEN、XCAVATOR、GenomonSVの3つのツールを組み合わせて検出を試みた。これらの解析パイプラインの整備を行い、百寿者および日本人健常一般集団におけるアリル頻度のアノテーションを実施することで、ゲノム構造異常の病的意義を推定を可能とした。 解析対象となる患者のリクルートに関しては、コロナ禍の影響もあり、2020年度には1家系のもやもや病と肺高血圧症の家族歴を伴う患者・家族に対して、全ゲノム解析を実施した。その結果、結合組織に関連する遺伝子の変化を検出し、原因と推定された。2021年度は2家系の原因不明の肺高血圧症患者に対してトリオ解析を実施したが、明らかな原因と推定される遺伝子異常は推定されなかった。さらに4家系の特発性肺高血圧患者・家系の候補の絞り込みを行っており、2022年度に解析を行う方針である。そして解析の結果、候補となった遺伝子について、肺高血圧者のコホートでの統計学的解析を行い、リスクの評価を行う。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
適切な遺伝子解析結果を得るためには、家系内の健常者を含む遺伝子解析が必要になる。コロナウイルス流行下において、健常者の病院受診は推奨されないため、家系全体での参加者リクルートが困難であり、研究がやや遅れている。 対象となる患者・家系の抽出は完了しており、2022年度は速やかに全ゲノム解析を行う予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度に特発性肺高血圧者で原因がわかっていない患者・およびその両親に対して、同意を得て全ゲノム解析を実施し、原因となりうるバリアントの抽出を行う。 候補遺伝子に対して、肺高血圧症患者コホート内でのバリアントの集積について、統計学的解析を行う。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルス流行下において、健常者である患者家族の病院受診が難しく、家系が十分に集まらなかった。コロナウイルスの流行が落ち着いた時期を見計らってリクルートを行い、解析を実施する。
|