2022 Fiscal Year Annual Research Report
超長寿者を比較対象とした肺高血圧患者の遺伝子構造異常解析とリスク評価
Project/Area Number |
20K17162
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 寿人 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (80783042)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺高血圧症 / 全ゲノム解析 / コピー数多型 / ゲノム構造異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
指定難病である肺高血圧症の原因として、すでに原因遺伝子として確立しているBMPR2, ENG, ACVRL1, RNF213等のバリアントが見出されていない家系において全ゲノム解析を実施した。全ゲノム解析では、エクソーム解析では検出困難なゲノム構造異常・コピー数多型を検出すること、発症の高リスクとなりうる新規遺伝子バリアントの検出の2つを主な探索目標として設定した。 研究実施期間において、11名の肺高血圧症発端者の全ゲノム解析を行った。遺伝子構造異常・コピー数多型の探索には、XCAVATOR, CNVpytor, GenomonSVの3つの検出アルゴリズムを使用し、Samplotを用いて視覚化した。11家系内で確立済みの肺高血圧症原因遺伝子についての遺伝子構造異常・コピー数多型は検出できなかった。 新規疾患原因遺伝子バリアントの同定に向けて、11名の肺高血圧症患者の家系を実施し、3つの家系で原因候補となりうるバリアントを検出した。動脈硬化への抵抗性に関連する転写遺伝子であるKLF2(de novoバリアント), 内皮細胞を構成する遺伝子であるFLNA(家族歴に一致するバリアント)、細胞外マトリックス遺伝子であるTNXB(複合ヘテロ接合性バリアント)である。いずれもがアミノ酸置換を引きおこすミスセンスバリアントであり、検出されたバリアントがタンパク質の機能にどのような影響を及ぼすものかは検討できていない。これらのバリアントが機能喪失型なのか、機能亢進型なのかについては細胞やモデル動物を用いた機能解析が今後必要となる。また、国内外に存在する肺高血圧症患者ゲノムコホートでの探索を行い、検証する必要を有する。
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