2021 Fiscal Year Research-status Report
右心不全特異的な分子標的療法の創出に向けた基盤研究
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20K17167
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
伊藤 章吾 久留米大学, 医学部, 助教 (60647808)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 右心不全 / 補体経路 / 肺動脈結紮術 / マウス / C3a |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、右心不全に対する分子標的療法を創出することを目的とした研究である。なぜなら、右心不全に対する特効薬はなく、右心不全があることによって薬物治療の選択が難しくなるからである。右心不全だけを改善する治療ターゲットを探すため、網羅的遺伝子発現解析を行うと、右心室で補体副経路が活性化していることが分かった。補体副経路は自然免疫に重要なタンパクであるが、心臓での役割は分かっていない。補体副経路を阻害することでマウスの右心不全モデルで右室機能が悪化しなかったことから、補体副経路を阻害すれば右心不全を治療できるようになると考え、メカニズムの解明を行いたい。 現在主にわかっていることとして、肺動脈結紮マウスモデルを用いると右室不全の進展が有意に抑制されること、心不全や線維化関連遺伝子発現がC3ノックアウトマウスで抑制されること、C3KOマウスの肺動脈結紮マウスでは催不整脈性が抑制されること、これらと同様の事象がC3a受容体阻害剤によっても確認された、これらのことが明らかになった。このことを基に、培養細胞を用いた実験で、C3aの直接の下流にあたる転写制御因子をいくつか同定したこと、既知のケモカインの発現量もC3-C3a経路の阻害によって低下し、さらにこの現象はin vivo-in vitroに共通して認められた。 これらの主たる表現系を基に、メカニズムを解明するために追加の実験系をいくつか確立し、さらなる解析を進めている。特に、右室疾患と催不整脈性の関連が知られており、不整脈の誘発実験(ペーシングなど)、単離心筋の性質の検討を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
C3ノックアウトマウスに対して肺動脈結紮術を行ったところ、右心不全の進展が抑制された。このメカニズムを検討する目的で、心筋単離実験や心臓カテーテル検査などを追加して行う必要があったため、研究機関の延長の必要性が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、論文投稿中であり、追加した実験系(ノックアウトマウスの心筋単離実験・心臓カテーテル法による圧血行動態評価)を中心に検討を重ねている最中である。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変マウスを複数種類飼育しているが、COVID19の流行によって動物実験施設の利用制限を8ヶ月程度行った影響で、マウスの交配計画に大幅な変更を強いられた。一部のマウスは、系統維持交配にとどめ、実験に用いるマウスは利用制限が解除された後に野生型マウスとの交配によって産出させる必要が生じたため、もとの実験に戻るために1年程度要したことになった。その間は主に以前作製したcDNAを用いた遺伝子発現解析や、in vitro解析を中心に行った。まだ定期的にCOVID19の感染拡大による実験の制限は続いており、実験の進捗に影響が出ることが予想される。可能な限り利用可能なサンプルを一時的に集中して採取することで、動物実験制限期間に影響が出ないように計画を立てている。動物実験とその表現型確認を目的とした分子生物学実験試薬に100万円と、論文投稿費は現在査読中の雑誌は65万円要する予定である。
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