2020 Fiscal Year Research-status Report
A study on the mechanism of xanthine oxidase inhibitor withdrawal syndrome
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20K17168
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Research Institution | Okinaka Memorial Institute for Medical Research |
Principal Investigator |
桑原 政成 (財)冲中記念成人病研究所, その他部局等, 研究員 (20728290)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 尿酸 / 心血管疾患 / キサンチンオキシダーゼ阻害薬 / 離脱症候群 |
Outline of Annual Research Achievements |
キサンチンオキシダーゼ阻害薬(XOI)離脱症候群の有無を明らかにするため、順調に研究を進められている。2020年10月に、死亡データも抽出可能なJMDC(旧、日本医療データセンター)のレセプトデータをアカデミアとして購入した。XOI離脱症候群の有無を明らかにするためには、コントロールと比較する必要があることから、当初予定していたXOIであるアロプリノール、フェブキソスタット、トピロキソスタットの薬剤を処方された患者データに加え、同薬を処方されていない患者データも必要となり、データ購入に当初の予算を超過して費やした(1,991,000円)。 また、XOI離脱に伴う心血管疾患の発症を調べるため、日本循環器学会の循環器疾患診療時実態調査(JROAD)のデータを利用した研究公募に2021年2月に応募し、採択された。本データ使用の500,000円は、2021年度の予算で予定している。JMDCで死亡率の比較を、JROADで心血管疾患の発症の比較を行うことで、XOI離脱症候群についてより詳細な検討を行う。 匿名データを使用する研究となるため、本来は倫理委員会の承認は不要であるが、JMDCとJROADの両方のデータを使用すること、今後論文化も検討していることから、虎の門病院の倫理委員会に研究計画書を提出している。2021年5月の倫理委員会審査で承認後に、詳細な解析を予定している。 詳細な論文レビューも行った。2018年にフェブキソスタットがアロプリノールと比較し、心血管死亡、総死亡が多く認められていたというCARES trialの結果を覆す結果が、2020年末にLancetに報告された、欧州のFAST trialで示された。FAST trialでは、CARES trialと比較して、脱落率や薬剤中止が少なかったことが、結果に影響したと考えられており、XOI離脱症候群の研究結果が求められている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたJMDCのデータ解析に加え、日本循環器学会の循環器疾患診療時実態調査(JROAD)のデータを利用した研究も開始できており、順調に研究を進められていると考えられる。匿名データを使用する研究では、本来は倫理委員会の承認は不要であるが、今後の論文化も見据えて、研究計画書を虎の門病院の倫理委員会にも提出しており、論文化を含めた今後の研究を進めていくうえでの障害も取り除いている。 XOI離脱症候群の可能性については、2020年末にLancetに報告された、欧州のFAST trialの結果でも示唆されている。2018年にNew England Journal of Medicine(NEJM)で報告されたフェブキソスタットがアロプリノールと比較し、心血管死亡、総死亡が多く認められていたというCARES trialの結果が、FAST trialでは覆され、両群には差がないことが示された。本研究結果の違いは、FAST trialでは、脱落率や薬剤中止が少なかったことが影響したと考えられている。これらの結果は、薬剤の中止が、XOI離脱症候群によるイベント増加に影響していることを示唆しており、我々の仮説を支持していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の予算で、日本循環器学会の循環器疾患診療時実態調査(JROAD)のデータ利用料500,000円を支払い、JMDCで死亡率の比較に加え、心血管疾患の発症の比較を行うことを予定している。虎の門病院の倫理委員会に研究計画書を提出しており、2021年5月の倫理委員会審査で承認後に、詳細な解析を予定している。 JMDCは直近10年分のデータの解析を予定しており、JROADは2012年4月1日から2020年3月31日までのデータの解析を予定している。主要評価項目は、JMDCは死亡率、JROADは心血管疾患を中心とした循環器病の発症(有病率)、入院期間とし、各解析については、性別での解析、年齢の影響についての感度解析を追加する予定である。 具体的な解析方法は、カプランマイヤー曲線を作成し、ログランクで生存解析を行う。さらに、年齢、性別、高血圧、糖尿病、脂質異常症、慢性腎臓病などの共因子を加え、入院期間に関しては重回帰分析、死亡の有無については混合ロジスティック回帰分析を行う。また、高尿酸血症の有無や、尿酸降下薬内服の有無、中止の検討の際には、プロペンシティマッチングを行い、背景を合わせた解析も検討している。 XOI離脱症候群の解析の際に、他の薬剤をすべて中止していた患者については、経口摂取困難な状態であったと考え除外する。薬剤の中止の定義は、1週間以上同薬を継続されていないものとする。 2021年度中に上記の解析を行い、国内・国際学会での発表、論文化を行うことを目標としている。
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Causes of Carryover |
2020年度の研究費で9000円の残額が生じたため、2021年度への繰り越しとした。2021年度に、日本循環器学会の循環器疾患診療時実態調査(JROAD)のデータ利用料500,000円を支払う予定があり、その費用の一部に充当する予定である。
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