2022 Fiscal Year Annual Research Report
BET阻害によるDNA損傷修復阻害効果を用いた新たな肺癌治療の開発
Project/Area Number |
20K17173
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
高島 雄太 北海道大学, 大学病院, 助教 (90848764)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺がん / パクリタキセル / DNA修復 / 非相同末端結合 / 細胞周期 |
Outline of Annual Research Achievements |
パクリタキセル(PTX)は微小管の脱重合を阻害することでM期での細胞周期の停止(mitotic arrest)や異常な細胞分裂を起こし、DNA2本鎖切断(Double-strand break: DSB)を引き起こすことで抗腫効果を示す。PTX耐性の機序としてmitotic slippageがあり、PTXによるDSBが生じた細胞はmitotic slippageによって早期にG1期に移行し、NHEJ機構を用いてDNA修復を行うことで細胞死を回避する。申請者らはNHEJ機構を抑制することでPTXの耐性機序を克服できるのではないかと考え、NHEJ阻害剤であるA-196や申請者らが以前に報告しているBET阻害剤によるNHEJ阻害効果を用いてPTX耐性の克服について検討した。 複数の非小細胞肺癌の細胞株を用いてPTXの抗腫瘍効果を確認したところ、H1299はPTX耐性であった。H1299ではPTXによるmitotic arrestの効果が小さく、M期停止の時間が短く、mitotic slippageがより多く起こっていた。A-196、BET阻害剤であるJQ1はH1299においてPTXと相乗的な併用効果を示したが、その他の細胞株では併用効果は認めなかった。A-196、JQ1はPTXとの併用によりH1299に対してDSBおよびアポトーシスを誘導し、post mitotic deathを増加させ、細胞死までの時間を短縮した。 PTXの感受性のあったA549を用いてPTX耐性株を作成した(A549-PR)。A549-PRではPTXによりmitotic slippageが増加し、A-196はPTXと相乗的な併用効果を示した。A549-PRに対してA-196とPTXの併用はDSBおよびアポトーシスを誘導した。
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Research Products
(2 results)