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2020 Fiscal Year Research-status Report

肺線維症における病原性ヘルパーT細胞による病態形成の新規分子機構の解明

Research Project

Project/Area Number 20K17175
Research InstitutionChiba University

Principal Investigator

青木 亜美  千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (60827674)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2022-03-31
Keywords免疫学 / 肺胞上皮細胞 / CD4陽性細胞 / 組織修復 / 肺線維症
Outline of Annual Research Achievements

様々な有害な外来抗原の曝露やウィルス感染により、肺の上皮細胞は傷害を受ける。傷害を受けた肺の上皮細胞では、肺胞上皮の幹細胞である2型肺胞上皮細胞が1型肺胞上皮細胞に分化することで修復が促進されることが分かっている。本研究では、肺の末梢に位置する肺胞領域での線維化誘導機構および修復機構を明らかにすることを目指し、研究を進めている。
まず、マウスモデルにおいて、アスペルギルス抗原で誘導される肺胞領域の炎症および線維化について詳細な解析を進めた。アスペルギルス抗原曝露による炎症が誘導された肺胞領域において、2型肺胞上皮のリプログラミングが起き、2型肺胞上皮から1型肺胞上皮への分化が促進していることを蛍光免疫染色による組織学的評価、フローサイトメトリーおよびシングルセルRNAシークエンスによる解析から明らかにした。この2型肺胞上皮から1型肺胞上皮への分化誘導は、CD4陽性T細胞を除去したマウスにおいて抑制された。次に、CD4陽性T細胞について詳しく解析した。CD4陽性T細胞には様々サブセットが存在するが、本マウスモデルでは炎症性サイトカインを産生するCD4陽性T細胞が増加していることが分かった。CD4陽性T細胞からこの炎症性サイトカインの産生を抑制するマウスにアスペルギルス抗原を曝露したところ、2型肺胞上皮から1型肺胞上皮への分化は抑制された。また、肺オルガノイドを作製し、CD4陽性T細胞由来のサイトカインを添加・培養したところ、2型肺胞上皮から1型肺胞上皮の分化が促進されることが分かった。以上の結果より、抗原曝露によって炎症を誘導された肺胞領域において、CD4陽性T細胞が肺胞上皮の分化・修復に対して促進的に働いていることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

研究計画調書通りに、予後不良で根治治療法のない肺線維症の病態解明を目指し、炎症および傷害時の肺胞領域における修復・線維化機構の解析を進めている。今年度は、アスペルギルス抗原を曝露したマウスのin vivoモデルによって、CD4陽性T細胞が肺胞上皮細胞の分化移行を誘導することを明らかにした。シングルセルRNAシークエンスによるトランスクリプトーム解析により、2型肺胞上皮のリプログラミングや1型肺胞上皮への移行細胞の遺伝子発現パターンの変化を詳しく解析することができた。
また、研究計画書にはなかったが、CD4陽性T細胞が肺胞上皮の分化に与える作用を解析するために、2型肺胞上皮を線維芽細胞と共にマトリゲル上で3次元培養し、マウス肺由来のオルガノイドを作製した。この実験系により、CD4陽性T細胞由来のサイトカインが肺胞上皮の分化誘導に及ぼす作用をより詳細に解析することが可能になった。
以上より、着実に研究は進んでおり、概ね順調に進展しているといえる。

Strategy for Future Research Activity

今年度の研究により明らかになったCD4陽性T細胞が促進する肺胞上皮細胞の修復作用について、そのメカニズムを明らかにする。具体的には、マウス肺由来のオルガノイドにCD4陽性T細胞由来のサイトカインを添加し、オルガノイドの発育の変化を検討する。そして、サイトカインを添加した肺オルガノイドをシングルセルRNAシークエンスとATACシークエンスを組み合わせて解析する。この実験において、1細胞あたりの遺伝子発現とクロマチンアクセシビリティを同定する。以上の解析により、CD4陽性T細胞が誘導する肺胞上皮細胞の修復誘導の機能分子を同定し、そのメカニズムを明らかにする。
次に、ヒト患者検体(肺線維症、慢性過敏性肺臓炎等)を用いた検証実験を行う。肺組織を蛍光免疫染色し、肺傷害と肺胞上皮細胞の分化移行、CD4陽性T細胞の空間的位置を解析する。さらに、組織環境を保持しつつ網羅的トランスクリプトーム解析を可能にする空間的シングルセルRNAシークエンス解析を行うことによって、空間的遺伝子発現パターンを同定し、ヒト肺における組織修復についての理解を深める。

  • Research Products

    (9 results)

All 2021 2020 Other

All Journal Article (7 results) (of which Peer Reviewed: 4 results,  Open Access: 3 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] Memory-type pathogenic TH2 cells and ILC2s in type 2 allergic inflammation2021

    • Author(s)
      Hirahara Kiyoshi、Aoki Ami、Kiuchi Masahiro、Nakayama Toshinori
    • Journal Title

      Journal of Allergy and Clinical Immunology

      Volume: - Pages: -

    • DOI

      10.1016/j.jaci.2021.02.006

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Pathogenic helper T cells2021

    • Author(s)
      Hirahara Kiyoshi、Aoki Ami、Nakayama Toshinori
    • Journal Title

      Allergology International

      Volume: 70 Pages: 169~173

    • DOI

      10.1016/j.alit.2021.02.001

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] Eosinophils: Cells known for over 140 years with broad and new functions2021

    • Author(s)
      Aoki Ami、Hirahara Kiyoshi、Kiuchi Masahiro、Nakayama Toshinori
    • Journal Title

      Allergology International

      Volume: 70 Pages: 3~8

    • DOI

      10.1016/j.alit.2020.09.002

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] 病原性Th2細胞2021

    • Author(s)
      青木亜美、平原潔、中山俊憲
    • Journal Title

      アレルギ-

      Volume: 70(2) Pages: 134-135

  • [Journal Article] 病原性ヘルパ-T細胞とアレルギ-2020

    • Author(s)
      青木亜美、平原潔、中山俊憲
    • Journal Title

      アレルギ-の臨床

      Volume: 40(537) Pages: 31-34

  • [Journal Article] 肺の組織線維化をひき起こす新たな細胞集団の同定2020

    • Author(s)
      青木亜美、平原潔、中山俊憲
    • Journal Title

      臨床免疫・アレルギ-科

      Volume: 73(6) Pages: 652-657

  • [Journal Article] Comparison of cytokine profiles between anti-ARS antibody-positive interstitial lung diseases and those with anti-MDA-5 antibodies2020

    • Author(s)
      Katsuaki Asakawa, Ami Aoki, Toshinori Takada
    • Journal Title

      Clinical Rheumatology

      Volume: 39 Pages: 2171-2178

    • DOI

      10.1007/s10067-020-04984-x.

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] IL-5受容体抗体ベンラリズマブの好酸球性副鼻腔炎における抗体依存性細胞傷害活性作用の検討2020

    • Author(s)
      青木 亜美
    • Organizer
      JSA/WAO Joint Congress 2020(第69回日本アレルギー学会学術集会)
    • Int'l Joint Research
  • [Remarks] 千葉大学大学院医学研究院 免疫発生学HP

    • URL

      https://www.m.chiba-u.ac.jp/class/meneki/index.html

URL: 

Published: 2021-12-27  

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