2023 Fiscal Year Annual Research Report
エクソソームの最新プロテオミクスによる気管支喘息の新規バイオマーカー探索
Project/Area Number |
20K17180
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
木庭 太郎 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (00812942)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気管支喘息 / プロテオミクス / バイオマーカー / エクソソーム / Galectin-10 |
Outline of Annual Research Achievements |
気管支喘息は、肺におけるアレルギー疾患の代表として認知度は高いものの、病態解明や診断法確立など課題も多い疾患である。とりわけ、複雑多様である病型(表現型)や疾患活動性を捉えることのできるバイオマーカー開発が不十分である。我々は、今まで慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、COVID-19において、エクソソーム(細胞外小胞)の網羅的解析により、新規バイオマーカーを同定するだけでなく、病態解明に役立ててきた。 我々は、新規メッセンジャーとして注目されているエクソソームの網羅的解析により、血液中に浮遊するエクソソームから3000種類以上に及ぶ膨大な蛋白を捉えるだけでなく、喘息患者肺も同時に網羅的解析を加える統合解析により、喘息病態と密接に関わる新規バイオマーカーを同定した。とりわけ、Galectin-10を含む新規バイオマーカー分子は、喘息診断や気流閉塞(粘液栓)だけでなく、喘息病態と密接に関わるエトーシス(好酸球の細胞死)と相関した。 さらに、喘息に合併することが多い好酸球性副鼻腔炎においても、同様のバイオマーカーが診断のみならず、病勢(疾患活動性)と相関することを見出した。従来、喘息のバイオマーカーとして血中好酸球数が主に活用されてきたが、エクソソーム中Galectin-10は、好酸球数に優る新規バイオマーカーであることが示唆された。 本研究成果は、複雑多様な喘息において、本成果から見出された新規バイオマーカーが、喘息診断だけでなく、病態解明や治療法開発に有用であることが示唆された。また、これらのマーカーは、炎症性疾患における好酸球性炎症の同定にも応用可能と考えられる。
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