2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K17181
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
梅澤 佳乃子 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (40824181)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | COPD / エンドセリン |
Outline of Annual Research Achievements |
肺高血圧症は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の主要な合併症の一つであり、肺血管床の減少、低酸素性肺血管収縮、低酸素や喫煙による血管内皮機能障害および肺血管リモデリングが原因として考えられている。COPDにおける肺高血圧症、右心不全は予後不良であることが知られているが、現在のところ有効な薬物療法がない。そこで本研究は、①既存の吸入薬の肺高血圧への進展抑制効果を明らかにすること、②肺高血圧の進展に重要な役割を果たしているエンドセリンがCOPDの肺高血圧症への進展に果たす役割を明らかにしていくこと、さらに③COPD患者の呼気凝集液検体を用いてエンドセリンの定量を行うことで、COPDに対するこれらの治療がエンドセリンに与える効果を調べることを主な目的にしている。 まず、COPDの治療前後の患者血漿と呼気凝縮液を回収し、含まれているエンドセリン濃度をELISAにより定量した。現在8例登録しており、チオトロピウム前後の測定を実施している症例においては血漿では平均値が2.77 pg/mlから1.77 pg/mlと減少しており、呼気凝縮液においては0.54 pg/mlから0.49 pg/mlと変化していた。次に、エラスターゼ誘導性COPDマウスモデルを作成し、血中のエンドセリン濃度の経時的変化を調べた。投与後21日目において血漿中エンドセリン濃度は、エラスターゼ投与群は平均2.01 pg/mlであり、PBS群は平均1.29 pg/mlであった(p<0.001)。さらに、5w時点でエラスターゼ投与し治療薬もしくはPBSをエラスターゼ投与3週間後から週3回を2週間、合計6回投与した腹腔内投与した。結果としては、PBS 2.21 pg/ml、B/G/F 1.39 pg/mlでありB/G/Fではエンドセリンの産生低下が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ予定通りに進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
エンドセリン産生低下の原因を調査するために、気道上皮と血管内皮細胞を使用した実験を開始する。エラスターゼ投与3週間時点でのマウス肺組織においてqRT-PCRを実施しIl-1βは発現亢進していないが、Tnf-αが発現亢進していることを確認しており、TNF-αで刺激した気道上皮のconditioned mediumを作成し、それが血管内皮のエンドセリン産生に与える影響を調査していく予定である。
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Causes of Carryover |
概ね順調に進行しており、差額は少ない。細胞実験の試薬で今年度分を次年度に使用予定である。
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