2020 Fiscal Year Research-status Report
第2世代抗線維化チロシンキナーゼ阻害薬TAS-115の機能解析から臨床への展開
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20K17183
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小山 壱也 徳島大学, 病院, 特任助教 (90724089)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺線維症 / TAS-115 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスにおける肺線維症モデルとしてシリカ誘発性肺線維症モデルを作成することができた。同モデルにおいて、シリカを気管内投与後、Day28以降に肺組織の線維化が生じることが明らかになった。また組織線維化に関わる成長因子として、マクロファージにおいてTGFβ産生は経時的変化を見せないものの、PDGF産生は線維化の進行とともに顕著になることが分かった。マクロファージ分画としてはCD11b+CD11c+マクロファージが経時的に増加するため、この分画における線維化関連の成長因子もしくはサイトカインの産生能を検討していく予定である。また、このような線維化に関与する肺胞マクロファージへの分化にM-CSFシグナルが重要であることが報告されているため、M-CSF受容体阻害効果のあるTAS-115がシリカ誘発性肺線維化にマクロファージの活性化阻害を介して抑制的に働く可能性が考慮された。 一方、Col1a2-GFPレポーターマウスを用いた検討では、CD45-Epcam-CD31-GFP+細胞として線維芽細胞を単離することが可能となった。ブレオマイシン肺線維症マウスモデルにおいてニンテダニブ投与下での線維芽細胞の採取が可能になり、ニンテダニブ非投与下での線維芽細胞との比較検討を行いニンテダニブへの耐性機序を明らかにしていく。 これらの解析を通してマクロファージおよび線維芽細胞におけるTAS-115の抗線維化作用の新規標的を検索していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行に伴い下記の支障を来した。 (1)流行状況の変動により、学内の警戒レベルが上下することで新規実験の開始の計画などの計画立案がスムーズに行えなかった。 (2)大学内の警戒レベルが上がることで、マウスを用いた新規実験の開始に制限がかかり動物実験に遅れが生じた。 (3)物品の流通が悪化し、特に遺伝子発現を解析するための物品の購入が遅れた。 (4)新型コロナウイルス感染症診療に携わる医師が増えたため、自分の日常診療業務に関わる時間を増やす必要が生じ研究へのエフォートを減らす必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
シリカ誘発性肺線維症マウスモデルを用いて、既報告においてニンテダニブが有効でなかった線維化期におけるTAS-115の有効性を検討する。まず①線維化の状態を組織学的スコアやHydroxyproline解析を用いて検討し、ついで②気管支肺胞洗浄液や肺組織中の炎症細胞がTAS-115投薬によりどのように変動するのかをフローサイトメトリーを用いて検討、さらに③TAS-115がM-CSF受容体阻害効果を有することから、マクロファージへの影響をセルソーターを用いてTGF-bやPDGFなどのprofibroticな遺伝子発現を中心に解析する。 またCol1a2-GFPレポーターマウスから線維芽細胞をソーターで単離し、ニンテダニブ投与下でのTGF-bに対する応答の変化をprofibroticな遺伝子発現を中心に検討し、TAS-115に特異的な治療標的を検討する。
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