2021 Fiscal Year Research-status Report
Regulation of obesity related severe asthma, role of glucagon-like peptide-1
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20K17184
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
田代 宏樹 佐賀大学, 医学部, 助教 (00795031)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肥満 / 喘息 / 気道過敏性 / GLP-1 |
Outline of Annual Research Achievements |
まず、肥満マウス(db/dbマウス)による喘息増悪モデルの確立およびコントロールとして通常体重マウス(WTマウス)を同系統かつ同じ親マウス由来での評価を確立するため、米国ジャクソン研究所よりheterozygousマウスのbreeding pairsの輸入を行った。その後hetero同士のかけ合いにより得られたdb/dbマウス(homozygous)とWTの雌を用いて肥満喘息増悪モデルの確立のため両者にオゾン暴露(2ppm 3hour)を行い24時間後に解析を行った。まず、気道過敏性試験を fexiVent (SCIREQ, Montreal, Canada) で行ったところ、通常体重マウスと比較し、肥満マウスにおいて有意に気道過敏性が亢進することを確認した(p < 0.05)。次に気管支肺胞液中の総細胞数および好中球数の評価を行った。総細胞数および好中球数については肥満マウスおよび通常体重マウスでは有意差は認めなかったため、肥満はオゾンによる気道過敏性亢進に寄与している可能性が考えられた。 次に体重減少および気道炎症抑制に寄与すると考えられているGLP-1作動薬の中で、GLP-1受容体との親和性および結合時間および結果として体重減少作用が従来の製剤よりも高いとされているsemaglutideを用いて実験を行った。Semaglutideをオゾン暴露前5日間連日投与すると肥満マウスの体重は減少傾向を認めた。肥満マウスでのオゾンによる気道過敏性の増強は有意な抑制効果を認めなかったが、メサコリン濃度が低用量の時はsemaglutideにおける気道過敏性は低下する傾向がみられた。気管支肺胞洗浄液中の総細胞数や好中球数についてはsemaglutideにより有意な抑制はみられなかった。よってsemaglutideは肥満による気道過敏性増悪にわずかではあるが抑制作用を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID19の流行により臨床での対応が必要であり、十分な研究を行う時間が取れなかった。また、感染流行により動物施設への入室や必要物品の供給の滞りなどあり研究進行に難渋した。標準化されたコントロールを得るためと国内では入手できないC57B6をbackgroundとするdb/dbマウスを入手するため、heterozygousのdb/dbマウスを海外より輸入しin houseでbreedingを行った。性別も雌に限定したため繁殖効率が極めて悪く、プレ実験も含め十分なマウスの匹数確保が極めて困難であった。国内で入手可能な別種のdb/dbマウスおよび高脂肪食を使用し誘導した肥満マウスを行い、再実験を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
肥満喘息マウスの表現型において気道過敏性は誘導されたが、気道炎症は十分には誘導されなかった。またSemaglutideによる気道過敏性の抑制実験についても十分な結果を得られなかった。これについてはもともとのマウス側のオゾンによる反応が弱いためか、semaglutideの効果が不十分であるかは現時点では不明である。上記のように標準化された肥満マウスとしてのdb/dbマウスと通常体重マウスとしてのWTマウスの入手が極めて困難であることから国内で入手可能な別種のdb/dbマウスおよび高脂肪食を使用し誘導した肥満マウスを行い、再実験を行う予定である。また、GLP-1作動薬についてはsemaglutideのほかに広く臨床応用されているliraglutideの使用を検討中である。また気道過敏性や炎症が抑制されたら肺サイトカインの解析を行い、炎症がどのように変化したかを評価する予定である。
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Causes of Carryover |
COVID19の流行により臨床での対応が必要であり、十分な研究を行う時間が取れなかった。また、感染流行により動物施設への入室や必要物品の供給の滞りなどあり研究進行に難渋した。
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