2021 Fiscal Year Research-status Report
IL-10発現アデノ随伴ウイルスベクターによる難治性呼吸器疾患の新規治療法開発
Project/Area Number |
20K17189
|
Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
黒崎 史朗 自治医科大学, 医学部, 講師 (60625705)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | AAVベクター / 肺線維症 / 肺気腫 / IL-10 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺線維症および肺気腫におけるIL-10の役割を解明するために、マウスモデルを用いて解析を行う実験を行っている。しかし、昨年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延防止を図るため、当大学施設における動物実験は長期間制限された。そのため、実験に用いるウイルスベクターを大量に作製することと、これまでに使った実験の保存サンプル(肺切片)を用いて解析を行った。同様に、実験環境が制限されていたことから、昨年度は肺気腫の実験を主に行った。IL-10発現AAVベクターの作製については、HEK293細胞を用いてウイルスベクターを増殖させ、塩化セシウム密度匂配遠心法で精製した。肺気腫モデルマウスの切片は、これまでに実験で摘出し、保存していた肺を薄切してHE染色し、それをカメラ付き顕微鏡で撮影保存した。その後、解析ソフトを用いて計算を行った。これまでに保存されていた肺気腫マウスの肺切片を一通り評価すると、確実に肺気腫を生じさせることができているものと、できていないものがあり、確実な肺気腫を発症させることの必要性を実感できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
上述のように新型コロナウイルス感染症の蔓延防止のために、実験施設が長期間制限されたため、動物実験を殆ど実施できなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、エラスターゼ誘導性肺気腫マウスを多く作製し、IL-10発現AAVベクターを投与する治療実験を進める。特に、これまでの実験で肺気腫を確実に発症させることができていなかったため、確実に発症させられるようにエラスターゼの投与経路や投与方法を再評価する。その上で、IL-10発現AAVベクターの治療効果が得られているか、病理学的評価、生化学的解析を行う。生化学的評価については、モデルマウスから摘出した肺から核酸(DNA、RNA)やタンパク質を抽出し、気腫に関わる因子をmRNAの発現やELISA、ウェスタンブロット法を用いて解析する予定である。
|
Causes of Carryover |
昨年度は新型コロナウイルス感染症の蔓延防止のために、長期間動物実験が制限された。そのために、動物実験は殆ど行わず、組み換えAAVベクターの作製と保存サンプルを用いた解析実験を行った。実験に必要な試薬や切片作製、解析に費やす物品額は比較的少額であり、次年度使用額が生じた。今年度は動物実験を再開する方針であり、多くの試薬や技術補佐員の協力が必要となる。
|