2020 Fiscal Year Research-status Report
ILC2をターゲットとした新規抑制化合物・天然物の同定
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20K17193
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
加畑 宏樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (60528537)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ILC2 / IL-33 / Drug repositioning |
Outline of Annual Research Achievements |
臨床で用いられている薬剤の本来の薬効とは異なる作用を見つけ、別の疾患の治療薬としての適応を探索する既存薬スクリーニング(Drug repositioning, DR)研究が注目を集めている。本研究では、気管支喘息やアレルギー性疾患に関与する2型自然リンパ球(ILC2)を抑制する新しい物質を調査し、気管支喘息やアレルギー性疾患に対する治療候補物質の検討を行うことが目的である。 今年度は、IL-33刺激によって活性化したマウスのILC2に対して、約1000種類の化合物の抑制効果を検討した。その結果、複数の化合物がILC2の増殖やサイトカイン産生を抑制することが判明した。既にILC2やリンパ球に対して抑制効果が報告されているステロイドや抗癌剤などを除き、数種類の抑制候補物質が同定された。 現在、それらの化合物が喘息モデルマウスにおいても抑制効果があるかについて検討し、その抑制機序について研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は同定した化合物がどのような機序でILC2を抑制するかについて解析を行い、喘息モデルマウスを用いた実験も行っていく予定である。喘息モデルマウスはOVAによる獲得免疫を介したモデルとIL-33やアルテルナリアによる自然免疫を介したモデルがあり、両方のモデルを用いて評価を行うが、特にILC2による自然免疫を介したモデルでの抑制効果を検討する。具体的には、BALF及び肺組織における好酸球数やILC2数、BALF中のサイトカイン、肺の病理学的変化(HE染色およびPAS染色)、気道過敏性などを測定する。化合物および天然物の投与経路や投与タイミングを検討し、最も適切な投与法を同定する。 同定された化合物や天然物に関して、ヒトILC2を用いて抑制濃度の検討や細胞増殖、細胞死、サイトカインの産生などに関して詳細に検討を行う。 同定された化合物や天然物がどのような機序でILC2を抑制するかについては、化合物本来の効果と本来の薬効以外の効果(off-target)による可能性が考えられる。しかし、そのようなoff-targetについては十分な検討がされていないため、網羅的な多層オミックス解析が必要となる。RNA-seqやATAC-seqなどの遺伝子発現やエピジェネティクス解析、タンパク質や脂質の測定など幅広い検討を行い、これまでとは異なる新しい受容体や治療標的が同定されることが期待される。
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