2020 Fiscal Year Research-status Report
肺血管内皮細胞指向性アデノ随伴ウイルスを利用した肺動脈性肺高血圧症の病態解明
Project/Area Number |
20K17204
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
白石 安永 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 特殊環境衛生研究部門, 助教 (30813365)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 肺動脈性肺高血圧症 / アデノ随伴ウイルス / CtBP1 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺動脈性肺高血圧症は予後不良な進行性の疾患であるが、肺動脈リモデリングにいたるシグナル伝達経路は未だ不明である。本研究においては肺血管内皮細胞に指向性のあるアデノ随伴ウイルスを用いてマウスの肺血管内皮細胞特異的にタンパクを過剰発現させることで、肺動脈性肺高血圧症のメカニズムの解明と新規治療薬の開発につなげることを目的としている。 本年度は①肺血管内細胞に指向性のあるアデノ随伴ウイルスを効率的に作る方法を確立し、②C-terminal binding protein 1 (CtBP1)をマウスの肺血管内皮細胞に過剰発現させることで、肺動脈圧の測定と肺動脈の病理学的変化を観察した。 ①これまでの報告に基づき、アデノ随伴ウイルスのカプシドに変異を入れることで肺血管内皮細胞に指向性のあるアデノ随伴ウイルスを作成した。このウイルスを用いて肺血管内皮にGFPを過剰発現させ、肺を抗GFP抗体で免疫染色することによって確認を行った。また、効率よくアデノ随伴ウイルスを作成するため培養条件や精製方法を検討することで、従来報告されている方法よりも多くのウイルスを生成することができた。尚、この成果に関しては英文雑誌に投稿し現在リバイス中である。 ②CtBP1を肺血管内皮細胞に過剰発現させたマウスを血管内皮増殖因子阻害薬投与下で10%の低酸素環境下で飼育することで、肺高血圧症モデルを作製した。CtBP1を過剰発現させたマウスでは肺動脈圧が高く、肺動脈血管壁も肥厚している傾向にあった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最初にウイルスの作成方法を改良することにより、従来の方法よりアデノ随伴ウイルスを多く作ることができた。1回のウイルス作製でより多くのマウスに投与することができたことが研究の効率化につながった。
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Strategy for Future Research Activity |
肺動脈内皮細胞にCtBP1を過剰発現させた肺高血圧症のマウスモデルでは、肺動脈圧が高い傾向にあったが、例数を増やす必要がある。 肺動脈性肺高血圧では左心室と比較し、右心室が肥厚していることを示す必要があるため、心臓の病理所見や心臓のBNPの測定を行う予定である。 CtBP1以外にもSirt1やHIFの効果も今後検討していきたい。
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Causes of Carryover |
次年度はマウスを使った実験が本格化するため、本年度は支出を抑えた。 また当初予定されていた旅費を伴う学会がWEB開催となったため、本年度の支出が減少した
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