2022 Fiscal Year Research-status Report
A innate immune defense system against Mycobacterium avium pulmonary disease based on intracellular pH homeostasis
Project/Area Number |
20K17205
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
吉田 光範 国立感染症研究所, ハンセン病研究センター 感染制御部, 主任研究官 (70772630)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肺MAC症 / 発症機序 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺Mycobacterium avium complex (MAC)症は、近年世界中で患者が増加している慢性呼吸器疾患であるが、発症機序は解明されておらず、有効な治療法も確立されていない。当研究グループのこれまで検討により、肺組織において細胞内のpH恒常性維持に関与するCHP2 (calcineurin like EF-hand protein 2)遺伝子の発現量低下が肺MAC症の発症に関連している可能性が示唆された(Namkoongら, 2021, ERJ)。本研究は、肺MAC症の新たな発症機序として「CHP2遺伝子の発現量が低下したことで、MAC感染時における細胞内pH制御に基づいた炎症応答および殺菌機構が阻害される」という仮説を立て、これを検証することを目的とした。今年度は、A549細胞株について、CHP2遺伝子ノックダウン株(CHP2KD)、CHP2遺伝子過剰発現株(CHP2OE)、および先行研究において肺MAC症の発症と有意に関連したCHP2遺伝子下流のSNP領域をCRISPR法によりノックアウトした変異株(CHP2DSKO1-4)に対する感染実験を実施した。具体的には、M. avium subsp. hominissuis TH135株にYPetを導入した株を感染させ、セルソーターをもちいた菌の感染効率評価と、感染後時間経過に伴う細胞内菌量をCFUあるいはハイコテントイメージングシステムにより評価した。野生型株と比較してCHP2DSKO細胞株では感染効率が上昇している傾向にあったが、いずれの細胞株においても感染後の細胞内菌量に有意な差は認められなかった。また、Ypet陽性となった細胞株をセルソーターにより回収しRNAを抽出して遺伝子発現解析を実施し、現在データをまとめている段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、昨年度に引き続き新型コロナウイルス感染症対策行動計画により研究活動を一部制限されたため、本研究計画遂行のための十分な時間を確保できずにいた。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、A549 CHP2KD, CHP2OE, CHP2DSKO1-4の感染実験については、使用する細胞の種類を含めた実験条件の再検討を行う。現在解析を進めているM. avium感染時の遺伝子発現プロファイルを解析し、抗酸菌感染におけるCHP2遺伝子および関連遺伝子の応答を明らかにする。その後、それぞれ細胞株について作成したCHP2KDやCHP2DSKOにおいて、MAC感染後時間経過にともなうケモカインや炎症メディエーターの発現をLuminex assayにより測定する。これらの検証が済んだ後に、現在作成を進めているCHP2 KOマウスを使用した感染実験を行う予定である。上記実験を通してCHP2遺伝子がMAC感染時の炎症応答に関与している可能性を検証する。
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Causes of Carryover |
今年度は、昨年度と同様に新型コロナウイルス感染症対策行動計画により研究活動を一部制限されたため、次年度使用額が生じた。引き続き、研究計画に従って次年度終了までに使用する予定である。
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