2021 Fiscal Year Annual Research Report
胸膜中皮腫に対する抗PD-1抗体と細胞傷害性抗体を用いた複合がん免疫療法の開発
Project/Area Number |
20K17216
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
米田 浩人 徳島大学, 病院, 助教 (10776876)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 複合がん免疫療法 / 抗ポドプラニン抗体 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体および抗CTLA-4抗体が悪性胸膜中皮腫に対して本邦で承認され、優れた治療成績を認めるものの、その効果を増強する新たな複合がん免疫療法の開発が求められている。ポドプラニンは悪性胸膜中皮腫や神経膠芽腫などの様々な悪性腫瘍において特異的に高発現し、腫瘍進展に深く関与することで知られている。我々はこれまでに抗ポドプラニン抗体が、NK細胞を介した抗体依存性細胞障害活性により強い抗腫瘍効果を示すことを明らかにしている。本研究では、悪性胸膜中皮腫に対する免疫チェックポイント阻害薬である抗PD-1抗体と抗ポドプラニン抗体による複合がん免疫療法の確立を目指した前臨床研究をマウスモデルを用いて検討することを目的とした。マウス腫瘍細胞株におけるポドプラニンの細胞表面発現を確認したところ、悪性胸膜中皮腫細胞株AB1-HAにおいて発現が認められた。In vitro において、脱フコース化抗マウスPDPN抗体 (chPMab-1 mG2a_f)はAB1-HAに対して高い抗体依存性細胞障害活性を有することを確認した。AB1-HA担癌マウスに対して抗PD-1抗体と抗ポドプラニン抗体の併用効果について検討したが、併用による腫瘍抑制効果の増強は認めなかった。その他の免疫チェックポイント阻害薬である、抗PD-L1抗体、抗CTLA-4抗体を用いて抗ポドプラニン抗体との併用実験を行い、抗PD-L1抗体では併用による腫瘍抑制効果の増強は認めなかったが、抗CTLA-4抗体では、単剤投与と比較して腫瘍抑制効果の増強を認めた。併用治療群における腫瘍組織では、CD4もしくは CD8陽性T細胞の変化は認めなかったが、NK細胞の著しい増加を認めた。抗CTLA-4抗体と抗PDPN抗体併用療法が悪性胸膜中皮腫に対する新規複合がん免疫療法として有用である可能性が示唆された。
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