2020 Fiscal Year Research-status Report
特発性肺線維症の肺線維芽細胞に対する新規BET阻害剤の抗線維化作用の解明
Project/Area Number |
20K17226
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
金丸 良太 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70869156)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 間質性肺炎 / 肺線維症 / BRD4 |
Outline of Annual Research Achievements |
特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonias; IIPs)のうち最も頻度の高い特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis; IPF)は、慢性経過で肺の線維化が進行し発症後の平均生存期間は3-4年と非常に予後不良な疾患である。現時点では生存率や健康関連 QOLに寄与する有効性を証明した薬物療法はなく治癒が期待出来ない。近年、新たな創薬のターゲッ トとしてエピジェネティック機構が注目されており、特にBET(Bromodomain and Extra- Terminal)蛋白質は線維化との関連性が示唆されている。本研究では特発性肺線維症における肺線維化のメカニズムを解明し、抗線維化作用を有する新規薬剤の創薬につながる研究を行う事を目的とする。我々は次世代の抗線維化薬として新規BET(BRD4)阻害剤OTX015の可能性に着目した。BRD4受容体拮抗薬の肺線維症肺線維芽細胞の生理機能活性(Gel収縮能、遊走能、増殖能)の解析を行い、TGFβ投与下・非投与下で、BRD4阻害剤投与により、Gel収縮や遊走能を抑制することを証明し、今後論文化する予定である。またBRD4受容体拮抗薬(OTX015)による抗線維化作用の差異について、マイクロアレイ解析による遺伝子制御レベルからタンパク質レベルまで比較し、OTX015の効果の強いアレイを探索し、NOX4やELNなどの発現変動遺伝子が候補として挙がった。我々はそれらの候補因子に着目し、それぞれの阻害剤がGel収縮能、遊走能を抑制するのかを検証していく予定である。またブレオマイシン肺線維症マウスモデルを構築しており、in vivoでもBRD4阻害薬を含めた薬剤の効果を検証する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度よりin vivoでの検証も予定しており、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
肺線維症線維芽細胞と正常肺線維芽細胞を、それぞれTGF-β1やBRD4受容体拮抗薬を投与し反応させた後にマイクロアレイで遺伝子発現解析を行った結果、多くの候補因子が得られたため、ELN NOX4以外の新たな線維化制御候補因子の探索も並行して進めていく。ブレオマイシン肺線維症マウスモデルにおいて、BRD4阻害剤の線維化抑制効果についても検証していく。
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Causes of Carryover |
BRD4阻害剤によるコラーゲンゲル収縮抑制、線維芽細胞遊走能抑制効果に関してのin vitroデータは今後論文化予定であり、投稿費用が必要となる。また前述のマイクロアレイ結果よりNOX4等以外にも多くの候補因子が得られ、それらのコラーゲンゲル収縮や遊走能に関しても検証予定であり、実験費用を要するため、次年度使用額が生じている。
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