2023 Fiscal Year Research-status Report
真菌メラニンを認識する新規レクチン受容体(MelLec)を介した喘息の病態解明
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20K17230
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
戸根 一哉 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (70867423)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | MelLec / Aspergillus fumigatus / DHN-メラニン / 細胞内トラフィッキング / 免疫調節機構 / レクチン受容体 / 喘息 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治性慢性気道疾患である喘息の病態解明と新規治療薬の開発は喫緊の課題である。MelLecはTh17応答に関与するレクチン受容体であることをマウスモデルで明らかにしてきたが、我々はリガンドであるA.fumigatus刺激により、内皮細胞上のMelLecの発現が低下するという現象を確認した。この結果は、MelLecが過剰な免疫応答の抑制のためのネガティブフィードバックとしての制御機構の存在も示唆された。このような背景から、MelLecの免疫調整における役割や、その発現制御メカニズムの解明が重要な課題であると考えている。そこでヒトMelLecを高発現させたNIH3T3細胞におけるMelLecの局在について共焦点レーザー顕微鏡を用いて検討した。その結果、MelLecは細胞表面だけでなく、細胞内、特に核内においても強い発現を認めた(未発表データ)。この現象は、細胞表面のMelLecが外部から侵入する真菌のDHN-メラニンを認識するファーストステップであると考えられるが、エンドサイトーシス等の過程で細胞内に取り込まれ、更に核内に輸送されて機能を発現していることを示唆している。この現象を介した喘息病態・免疫調節機構との関連についても詳細な検討が必要であると考えている。更に、in houseヒトMelLecモノクローナル抗体でMelLecの発現をヒト肺切除検体上で確認した(未発表データ)。現在、発現細胞の特定を行っており、今後報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前向き研究で臨床検体が十分得られず、今後は過去の冷凍保存検体も使用して検討を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎的な検討から、MelLecは多面的な免疫調節機能を有する可能性が示唆されている。その背景にあるDHN-メラニンの細胞内動態、免疫調節機構、およびMelLec発現細胞を明らかにすることによって、喘息を含む真菌関連呼吸器疾患病態の解明と制御に寄与することが期待される。今後未知のDHN-メラニンのエンドサイトーシスと細胞内トラフィキングメカニズムの解明に挑戦し、MelLecの複雑な免疫機構を解明する。本研究で着目している喘息とMelLecの関連については、前向き研究で喘息合併の手術症例が極めて少なかったことから、過去の研究で得られたヒトの肺切除冷凍保存検体を二次利用し、喘息合併と非合併の症例でMelLecのmRNA発現量に差があるかどうか、またMelLecの遺伝子多型についても検討を行うこととした(承認番号 35-395(12032))。
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Causes of Carryover |
喘息合併の肺手術症例数が少なく、研究が遅れており残額が生じているが、今後過去の研究で得られた肺冷凍保存検体を二次利用し実験を進めていく予定である。
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