2020 Fiscal Year Research-status Report
オルガノイド技術を用いて、肺胞上皮細胞老化を標的とした肺線維症新規薬剤を探索する
Project/Area Number |
20K17238
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
榎本 泰典 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (90865297)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺線維症 / 肺胞オルガノイド / 細胞老化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、Ⅱ型肺胞上皮細胞(AT2)における細胞老化に着目し、肺線維症の機序の解明と、新規治療薬同定を目的としている。研究計画として①マウス肺胞オルガノイドへの老化誘導とin vitroにおける肺線維化プロセスの再現、②AT2の老化抑制が肺の線維化を抑制しうることのin vivoにおける検証、③AT2の老化を抑制し、線維化プロセスを減弱し得る新規薬剤のスクリーニング、を並行して進めている。 <計画①>マウス肺胞オルガノイドの培養条件の確立、及び細胞老化誘導に成功した。線維芽細胞との共培養に関して、オルガノイドの状態のまま共培養した場合、細胞を単離してから共培養する場合、双方の条件検討を行っている。 <計画②>老化シグナルとして重要なp53、p53を脱アセチル化により抑制する抗老化遺伝子Sirt1に着目し、AT2特異的に老化状態を抑制あるいは促進することを目的として、以下のマウスラインを作成するため繁殖を継続している。1) Sftpc-creER;p53-flox/flox; 2) Sftpc-creER; Sirt1-flox/flox; 3) Sftpc-creER; Rosa26-CAG-LSL-Sirt1-P2A-eGFP; 4) Sftpc-creER; Sirt1-flox/flox; p53-flox/flox。それぞれ十分数のマウスが確保できたところで、ブレオマイシン誘導性肺線維症モデルを用いて線維化に対する影響を検証する予定である。 <計画③>p21-luciferaseマウス由来の肺胞オルガノイドを用いて、p53シグナル、すなわち老化状態のup/downを簡便に定量できる実験系を立ち上げた。初期段階として、少数の化合物を用いて、実験系の妥当性を検証中である。またヒト細胞へのバリデーションのため、ヒト肺から直接単離した肺胞オルガノイドの培養条件を確立した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
<計画①>マウス肺胞オルガノイドの培養条件の確立に時間を要したため、共培養実験の進捗が特に遅れている。 <計画②>それぞれのマウスラインの妊娠・出生率に差があり、繁殖に長期の時間を要している。 <計画③>p21-lucideraseマウスの繁殖に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
<計画①>共培養実験の効率化のため、線維芽細胞の筋線維芽細胞への分化を簡便に評価できるマウス(Acta2-DsRed)を導入予定である。またin vivoにおけるより直接的な証明として、AT2の移植実験も計画している。 <計画②>マウスの繁殖に成功した後、ブレオマイシン誘導性肺線維症モデルを用いて線維化に対する影響を検証する予定である。 <計画③>少数の化合物を用いて、実験の誤差を極力少なく、また再現性の高い実験系に改良していく。プロトコル固定後、多数の化合物による検証を行う。またヒト細胞へのバリデーションも同時に計画している。
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