2021 Fiscal Year Annual Research Report
オルガノイド技術を用いて、肺胞上皮細胞老化を標的とした肺線維症新規薬剤を探索する
Project/Area Number |
20K17238
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
榎本 泰典 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 基礎科学特別研究員 (90865297)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 肺線維症 / 肺胞オルガノイド / 組織幹細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、肺胞上皮の組織幹細胞であるⅡ型肺胞上皮細胞(AT2)における細胞老化に着目し、AT2を起点とした肺線維症の発症機序及び治療標的解明を目的として計画された。 第一段階として、マウス肺AT2より肺胞オルガノイドを作成し、ブレオマイシンを用いてp53シグナルを発現させることによる細胞老化を誘導した。次に、老化誘導オルガノイドと線維芽細胞を逐次的に共培養すると筋線維芽細胞への分化を確認できたことから、in vitro肺線維化モデルの確立に成功した。 一方、p53KOマウス(Sftpc-creERT2;Trp53-flox/flox)由来のAT2を使用、あるいはTGFβ活性化因子integrin αVβ6の中和抗体を使用した場合には筋線維芽細胞誘導が抑制されることから、この共培養系が、p53高発現AT2由来の活性化TGFβに起因するものであることがわかった。実際、p53KOマウスではブレオマイシン誘導性の肺線維化及び筋線維芽細胞量が減少しており、AT2-lineage細胞のTgfb1の発現低下を認めた。この変化はex vivoの線維化モデルでも確認され、炎症非依存性のプロセスであることが明らかとなった。 次にTGFβがautocrineとして作用している可能性を検証した。AT2におけるTGFβシグナルを抑制するマウス(Sftpc-creERT2;Tgfbr2-flox/flox)を用いた共培養系では、ブレオマイシン誘導性の筋線維芽細胞分化が抑制された。またp53KOマウス由来のAT2にTGFβを投与した場合にはTgfb1やIntegrin αVβ6の発現を抑制できないことから、TGFβはp53非依存的にAT2の線維化誘導能をさらに高めていることがわかった。またこれら一連の変化はヒト肺由来のAT2でも再現された。 以上より、老化AT2由来の炎症非依存性線維化プロセスを明らかにした。
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Research Products
(3 results)