2020 Fiscal Year Research-status Report
ポドサイトにおけるユビキチン・プロテアソームで発現調整を受ける分子の網羅的解析
Project/Area Number |
20K17241
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
牧野 慎市 千葉大学, 医学部附属病院, 医員 (40713649)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ポドサイト / ユビキチン・プロテアソーム / オートファジー / 質量分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポドサイトにおけるユビキチン・プロテアソームの役割を解明するために、培養ポドサイトにプロテアソーム阻害剤であるBortezomibを投与して、ポドサイトに蓄積する蛋白を網羅的に解析した。ユビキチンはいくつかのリジン残基があり、リジン48を介して結合するパターンと、リジン63を介して結合するパターンが多い。 まず、リジン63を介して結合したユビキチン化蛋白と特異的に結合するビーズを用いてユビキチン化蛋白を回収し、質量分析によりどのような蛋白がユビキチン化されているのか解析した。その結果、DNA結合蛋白や細胞骨格関連の蛋白がユビキチン化されていることが分かった。 次にリジン48を介して結合したユビキチン化蛋白と特異的に結合するビーズを用いてユビキチン化蛋白を回収して、同様に質量分析で解析する予定である。
ユビキチン・プロテアソームと並んで細胞内の主要な蛋白分解機構であるオートファジーが知られているが、ユビキチン・プロテアソームとオートファジーの相互作用について解析するために、培養ポドサイトにおいて、プロテアソームの構築に必須の分子であるRpt3をノックアウトして、オートファジーの変化を解析することを試みた。Rpt3のエクソン7あるいはエクソン10において、Crispr Cas9システムを用いてDNAの切断を行うことでRpt3のノックアウトを行いプロテアソーム機能不全培養ポドサイトの作成を試みた。しかし、Rpt3をノックアウトした細胞が細胞死するためか、現在のところノックアウトした細胞ラインは確立できていない。今後、別のエクソンをターゲットにしてRpt3をノックアウトすることを予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プロテアソーム機能不全にしたマウスに、抗酸化作用のある物質やオートファジーの活性化薬を投与して、腎不全の予後を確認する実験は、まだ施行できていない。これはコロナ感染拡大によるマウス繁殖制限やスペースの確保の問題もあり十分な数のノックアウトマウスが準備できていないことが挙げられる。現在繁殖中であり、繁殖次第予定の実験を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
リジン48を介して結合したユビキチン化蛋白と特異的に結合するビーズを用いてユビキチン化蛋白を回収して、同様に質量分析で解析する予定である。リジン63のデータと併せて、ポドサイトにおいてユビキチン・プロテアソームが発現調整する蛋白のデータベースを作成できれば、実際に腎生検検体を用いて、ヒトの腎疾患において、ユビキチン・プロテアソームの異常により、そのような蛋白の蓄積が見られるかどうか確認していく。
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