2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K17242
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
井上 剛 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (30821665)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 腎臓 / 自律神経 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性腎障害は重篤な場合は致死的であり、慢性腎臓病や末期腎不全へ移行し得るという点でも非常に重要な疾患である。また、世界的にその発症頻度が上昇しているものの、対症療法以外に有効な予防法および治療法はこれまで開発されておらず、新規の治療法が熱望されている。本研究では、これまでにあまり注目されてこなかった脳腎連関に着目し研究を遂行した。 本研究によって、シスプラチン腎症モデルを用いて、腎障害後においても迷走神経刺激を行うことで腎障害が軽減することが明らかにした。この腎保護効果発揮にはマクロファージにおけるCCL2等のケモカインの発現が迷走神経刺激によって抑制されることを見出した。 これまで示してきた迷走神経(副交感神経)刺激に加えて、交感神経を薬剤(β2アドレナリン受容体アゴニスト投与)にて刺激することによっても腎臓が保護されることを見出した。この交感神経刺激による腎保護効果は、脾臓を前もって摘出することにより減弱することが明らかとなった。また、マクロファージ特異的β2アドレナリン受容体ノックアウトマウスでは減弱し、脾臓から取り出したマクロファージを交感神経刺激(β2アドレナリン受容体アゴニストを使用)したものをレシピエントマウスに移入することによっても腎臓保護効果が発揮されることを発見した。さらに、マクロファージの遺伝子網羅的解析および腎臓を用いた1細胞遺伝子網羅的解析によって、交感神経刺激によってマクロファージにおいてTim3の発現が誘導され、近位尿細管保護へと繋がることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた自律神経による腎臓への直接的な影響に関する研究はあまり進んでいないものの、交感神経およびマクロファージを介した腎保護作用に関する研究がかなり進んだため、全体としてはおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト尿細管細胞(HK-2)を用いた検討やマクロファージ特異的α7アセチルコリン受容体ノックアウトマウスを用いた検討を行う。
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[Journal Article] Coordinated demethylation of H3K9 and H3K27 is required for rapid inflammatory responses of endothelial cells2020
Author(s)
1.Higashijima Y, Matsui Y, Shimamura T, Nakaki R, Nagai N, Tsutsumi S, Abe Y, Link VM, Osaka M, Yoshida M, Watanabe R, Tanaka T, Taguchi A, Miura M, Ruan X, Li G, Inoue T, Nangaku M, Kimura H, Furukawa T, Aburatani H, Wada Y, Ruan Y, Glass CK, Kanki Y.
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Journal Title
The EMBO Journal
Volume: 39
Pages: e103949
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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