2021 Fiscal Year Annual Research Report
WNKシグナルの網羅的解析による新規高血圧治療薬の開発
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20K17244
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
磯部 清志 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (80804591)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 高血圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
本邦で高血圧患者は推定4300万人とされ、まさに国民病といえる。高血圧は重大な心血管合 併症との強い因果関係をもち、その治療は国民の生命予後改善に重要である。しかし、降圧剤を内服しても高血圧を呈する患者は高血圧患者の25%になるとの報告があり、有効な治療法の新規開発は、いまも高血圧治療に大きく貢献するものと考えられる。我々は遺伝性高血圧症の解析を通じて、腎と血管において血圧制御に重要な役割を果たすWNKキナーゼシ グナルを発見し、解析を進めてきた。本研究ではWNKキナーゼの基質同定を目的とし、リン酸化プロテオミクス手法を駆使した網羅的解析を実施する。このことによりWNKシグナルを介した高血圧を治療・予防しうる新規治療薬開発を目指してきた。実際にSPAK阻害薬の開発にも関わり、新規降圧剤の候補を得た(ChemMedChem. 2021 )。これは生体であるマウスのNCCリン酸化も抑制することを実験で確認しており、今後の化合物展開によってヒトへの応用も視野にすることが可能なSPAK阻害薬のシーズを得ることができた。 また、現在、WNKシグナルを制御する新規分子を同定しており、遺伝子改変マウスの検討も進めている。この遺伝子改変マウスではSPAKとNCCリン酸化が低下しており、Salt-losing塩分喪失性の表現系を示すことが予備実験で明らかになっている。これは、全く新しいWNKシグナル制御機構の解明につながると考えられ、さらなる研究を進めているところである。
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