2021 Fiscal Year Research-status Report
先天性腎尿崩症の治療法探索のためのアデニル酸シクラーゼとGsαの構造解析
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20K17245
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
野村 莉紗 東京医科歯科大学, 高等研究院, 特任助教 (70868124)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 腎性尿崩症 / アデニル酸シクラーゼ6 / クライオ電子顕微鏡 / 単粒子解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
難治疾患である先天性腎性尿崩症(NDI)は多尿とそれに伴う水分摂取が必要で、恒久的な知的障害や腎障害を伴うことがあり、患者のQuality of Life(QoL)が著しく低下する。治療法は尿量を減らす多少減らす薬が今までにもいくつかあったが、根本的な治療方法ではなく、QoLを大幅に上げるものではなかった。 NDIはバソプレシン(AVP)ーアクアポリン2(AQP2)のシグナル伝達系のうち、バソプレシン受容体(V2R)以降の異常で発症する。AVP-AQP2シグナルでは、まず下垂体後葉から分泌されたAVPが、腎集合管のV2Rに結合し、V2Rに結合しているGsαが遊離してアデニル酸シクラーぜ(ADCY)6又は3に結合し、ATPからcAMPを作り出してPKA-AKAP刺激してシグナルが伝わり、最終的にAQP2を刺激して、腎集合管で水の再吸収を促す。本研究では、ADCY6の構造解析を行うことで、NDIの治療薬の創薬を目指している。ADCYについては、ウシのADCY9の構造が2019年に解析されている。 R3年度は、R2年度中にヒトADCY9の精製ができたため、ヒトおよびウシADCY6の発現精製と、Gsαの発現精製をおこなった。ヒト及びウシのADCY6は発現精製が困難で、発現自体は少ないながらもするもの状態が良くなく、細胞を昆虫細胞・哺乳類細胞で試行、精製時のdetergentを検討するなどをおこなったがうまくいかなかった。Gsαは既報の通り、昆虫細胞において発現精製が可能であった。ウシADCY9との結合も確認し、生理学的な機能を有していることも確認した。ヒトADCY6とGsαの共発現や、精製時に一緒に精製するなどしてヒトADCY6の発現精製を安定させようとしたがうまくいかなかったため、今後は他の生物種に広げて構造解析に臨む予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヒトADCY6の発現が安定しておらず、他の種の合成遺伝子を作成し、発現精製を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
他の生物種のADCY6の発現、精製を試みている。精製ができればGsαとの複合体の構造解析を行う。 ヒトADCY9とGsαの複合体の構造解析を試みる。
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Research Products
(1 results)