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2020 Fiscal Year Research-status Report

ネクロプトーシスを標的とした慢性腎臓病の新たな治療戦略の開発

Research Project

Project/Area Number 20K17251
Research InstitutionSapporo Medical University

Principal Investigator

安部 功記  札幌医科大学, 医学部, 研究員 (30867544)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2022-03-31
Keywordsネクロプトーシス / 細胞死 / MLKL / 急性腎障害 / 慢性腎臓病 / ネフローゼ症候群
Outline of Annual Research Achievements

近年、新たな細胞死であるネクロプトーシスがCKDの病態に関与することが動物実験による検討で報告された。しかし、臨床例においてネクロプトーシスのCKD病態形成への関与は検討されていない。申請者はこれまで新たな細胞死であるネクロプトーシスの制御機構を解明し、初めてラパマイシンがネクロプトーシスを抑制することを見出した(J Mol Cell Cardiol. 2017, Biochim Biophys Acta. Mol Basis Dis 2019)。さらにヒト心筋生検組織においてネクロプトーシスを評価する方法を開発した(European Society Cardiology Congress 2019)。本研究ではこの方法を応用し、ヒト腎生検組織におけるネクロプトーシスを評価し、患者背景・腎予後との関連を解析することを目的として、研究を行っている。
2020年度は、当院で腎生検を行った症例の腎組織において、リン酸化MLKL(p-MLKL)抗体を用いて、免疫染色を行った。そのうち微小変化型ネフローゼ症候群の診断であった10例の解析を行ったところ、尿細管のp-MLKL陽性細胞を多く含む尿細管の割合(p-MLKL活性)と、腎生検後の急性腎障害の発症が関連することを示せた。現在ネフローゼ症候群に合併する急性腎障害の機序にMLKLの活性化が寄与すると仮説を立てて、同一腎組織の急性尿細管壊死スコア化、Kim-1(Kidney injury molecule 1)染色やNGAL(Neutrophil Gelatinase-Associated Lipocalin)染色を行い、MLKL活性化と既存の急性腎障害マーカーとの関連の評価を継続している(第63回 日本腎臓学会学術総会、論文投稿準備中)。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究で予定していた通り、ヒトの腎組織においてリン酸化MLKL(p-MLKL)染色によりネクロプトーシスの程度を評価する方法を確立した。さらに微小変化型ネフローゼ症候群において、ネクロプトーシスの指標であるp-MLKL活性と臨床指標との関連を解析し、p-MLKL活性が腎生検後の急性腎障害発症と関連することを示せた。
COVID19パンデミックに伴い、臨床エフォートが増大したため、モデル動物や培養細胞を用いた実験が進まず、新規誘導リガンドの特定や尿中マーカー開発には至っていないため、おおむね順調に進展していると考えた。

Strategy for Future Research Activity

本研究では、微小変化型ネフローゼ症候群において、新規細胞死であるネクロプトーシスの誘導に重要な蛋白であるMLKLのリン酸化と急性腎障害の発症が関連することを示した。さらに既存の尿細管障害マーカーとの比較を行い、微小変化型ネフローゼ症候群に合併する急性腎障害におけるMLKLの寄与を評価し、原著論文への投稿を予定している。
申請者はこれまで細胞死や虚血再灌流障害に着目して急性腎障害の機序解明に取り組んできた。近年、急性腎障害は高率に慢性腎臓病へ進展し、将来の心血管疾患の発症・死亡を増加させるが、急性腎障害が慢性腎臓病に移行する分子機序は解明されておらず、特異的な治療法はない。これまでの研究をさらに発展させ、慢性腎臓病の新規治療戦略を開発するために、2021年6月から海外基礎研究留学をする予定であり、科研費の研究中断申請を行っている。申請者の留学先では、急性腎障害が慢性腎臓病に進展する機序の解明を行う予定であり、留学から帰国後には本研究を再開し、留学先で取得した技術や知識を用いて本研究をさらに発展させることができると考えている。

Causes of Carryover

COVID19パンデミックを含めた影響による臨床エフォート増加から、動物モデル・培養細胞を用いた新規ネクロプトーシス誘導リガンドの特定や、尿中マーカー開発のための実験が進まなかったこと、COVID19パンデミックの影響で海外学会への旅費が不要になったことなどから、次年度使用額が生じた。
次年度以降に、動物モデルや培養細胞を用いた実験に取り組むため、マウスや細胞、試薬、抗体の購入に使用する予定である。COVID19パンデミックの状況が落ち着いた段階で国際学会での発表を目指す予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2020

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] A case of relapsed anti-glomerular basement membrane glomerulonephritis complicated by IgG4-related disease.2020

    • Author(s)
      Abe K, Shimamura Y, Nishizawa K, Maeda T, Yane K, Shinohara T, Ogawa Y, Takizawa H.
    • Journal Title

      Nefrologia

      Volume: 20 Pages: ePub

    • DOI

      10.1016/j.nefro.2020.05.014.

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 微小変化型ネフローゼ症候群における糸球体MLKL活性化の検討2020

    • Author(s)
      安部功記、田中希尚、矢野俊之、茂庭仁人、後町結、岡崎雄介、滝沢英毅、三浦哲嗣
    • Organizer
      第63回日本腎臓学会学術総会

URL: 

Published: 2021-12-27  

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