2021 Fiscal Year Research-status Report
細胞老化を介した高脂肪食摂取による慢性腎臓病や腎がん発症機序の解明
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20K17264
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
荒谷 紗絵 東京大学, 医科学研究所, 助教 (60844131)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 細胞老化 / 腎臓 / 加齢 / 慢性腎臓病 / 高脂肪食 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度からの異動に伴い、実験計画を修正した。 老化マーカー遺伝子p16をタモキシフェン投与依存的に蛍光標識できる動物モデル、p16-CreERT2/ROSA26-CAG-lsl-tdTomato-WPREを用いて、腎臓における老化細胞の発現を観察した。このマウスは、p16INK4Aプロモーター下流にCreERT2リコンビナーゼ遺伝子を発現したp16-Cre ERT2マウスと、Cre ERT2リコンビナーゼ活性依存的にtdTomatoを発現するRosa26-CAG-lsl-tdTomatoマウスを交配させたものである。p16-CreERT2tdTomatoマウスにタモキシフェンを投与すると、Cre ERT2が核内に移行し、Rosa26にあるlox配列に挟まれたSTOP配列が除かれ、後ろのtdTomatoが発現し、p16陽性細胞が赤色に蛍光発色する。 まず3-24カ月のマウスを用いて、自然加齢による腎臓での老化細胞(p16陽性細胞)の蓄積を評価した。老化した個体において、多くの細胞が老化細胞に至るわけではなく、老化細胞は数%を占めるに過ぎないことを見出した。腎臓においては、6カ月までは有意な変化はなく、12-24カ月齢で、尿細管における老化細胞の蓄積を認めていた。 次に、高脂肪食を負荷した実験では、4、8、12週間の高脂肪食負荷を行ったが、長期間の投与においても腎臓における老化細胞の有意な蓄積は認められなかった。一方、アデニン食を負荷した実験では、機能的・形態的に慢性腎臓病の表現型を示していた。今後は、アデニン食負荷による腎臓での老化細胞蓄積の有無やその役割を解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、高脂肪食を負荷した実験では、腎臓における老化細胞の有意な上昇を認めなかったが、他のモデルを用いて、腎臓での老化細胞の解析が可能となり、実験計画を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
細胞老化は、加齢性疾患の発症に深く関わることが知られており、慢性腎臓病との関連も示唆されている。p16-CreERT2/ROSA26-CAG-lsl-tdTomato-WPREマウスを用いて、自然加齢や疾患発症モデルを用いて腎臓における老化細胞の役割をシングルセルレベルでの解析を目指していく。
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Causes of Carryover |
動物モデルがすでに確立されているため、モデル作成に必要な追加費用が必要とならなかったため。また、コロナの影響により学会参加や研究会などに現地に赴く機会が減少し、異動宿泊費用がほとんどかからなかった。予算は、次年度に持ち越して研究を積極的に継続する予定である。
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