2021 Fiscal Year Research-status Report
腎構成細胞における細胞死の感受性を決定するメカニズムの解明
Project/Area Number |
20K17269
|
Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
木島 真理恵 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 研究所, 特任研究員 (70846310)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 代謝疾患 / 腎臓 / 細胞死 / ヒストンH1 / 糖尿病性腎臓病 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、週齢の高いマウスや特殊餌を使用し、腎臓への影響を調べた。はじめに、9週齢のdb/dbマウスと db/+mマウスを用意し、高脂肪食を 9週間与えた。これらのマウスから腎臓を採取し、解析を行った。まず、抗H1抗体を用いてDAB染色を行ったところ、近位尿細管、遠位尿細管、ボーマンのう上皮、メサンギウム細胞とそれぞれの細胞核でH1が発現していることを確認した。さらに、TBARSで腎臓の過酸化脂質を調べると、db/+mマウスに比べてdb/dbマウスの方が値が高いことが明らかになった。また、細胞死を調べるべく、TUNELの蛍光染色と分解カスパーゼ3 (cleaved caspase-3, CC3)に対する抗体を用いたDAB染色を行ったところ、死細胞領域や免疫細胞の蓄積は認められなかった。次に、30週齢のdb/dbマウスと db/+mマウスを用意し、同様に解析を行った。H1の発現領域は高脂肪食を与えた場合と同様であった。細胞死を調べると、死細胞領域や免疫細胞の蓄積は認められなかった。最後に、42週齢のdb/dbマウスと db/+mマウスを解析した。H1の発現領域は上記と同様であったが、db/dbマウスの腎臓では、H1の発現がやや不均一であり、db/+mマウスの腎臓に比較して発色が強い領域が多く見られる傾向にあった。TBARSで腎臓の過酸化脂質を調べると、db/+mマウスに比べてdb/dbマウスで値が高いことが明らかになった。また、HE染色を行った結果、死細胞領域や免疫細胞の蓄積は見られなかったが、CC3の発現を見ると、db/dbマウスの尿細管領域でわずかに陽性領域があることがわかった。これらの結果より、42週齢辺りから腎臓へのダメージが入りつつあることが見えてきた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
適切な週齢のマウスや染色方法の選択に多くの施行実験を必要としたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き、H1量に着目した腎構成細胞における細胞死のメカニズムの解明を目指し、研究に取り組む。H1量に関しては、ウエスタンブロット等を行い、定量的な評価を行いたい。また、42週齢で見られたH1の不均一な発現や細胞死に関しては再現性を確認したい。
|
Causes of Carryover |
適切な週齢のマウスや染色方法の選択に多くの時間を必要とし、本研究テーマの進捗が遅れたためである。当初、計画していた実験や再現性を得るための実験を次年度に延期し、その費用として繰り越した。
|