2022 Fiscal Year Research-status Report
糖尿病性腎臓病の全ゲノムシークエンスデータによるゲノム構造多型解析および機能解析
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20K17275
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅原 有佳 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (70841881)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 糖尿病性腎臓病 / 構造多型 / 全ゲノムシークエンス / whole genome sequence / 融合遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎臓病は、糖尿病を原疾患として発症する慢性腎臓病である。糖尿病自体が生活習慣病であり、生活習慣の影響はよく知られているが、その遺伝学的素因についての研究はまだ少ない。特に、構造多型について調べた研究は少なく、申請者は糖尿病性腎臓病の疾患背景としての構造多型の存在を明らかにすることを目標として本研究を遂行している。 糖尿病性腎臓病患者計80例の全ゲノムシークエンスデータを得て、Linuxのコマンドラインを用いて、1塩基多型やshort In/Delの検出、構造多型の検出を行った。この際、構造多型を検出するソフトウェアとして精度の良いものが新規に開発されたため、それを用いたパイプラインを再構築し、本パイプラインを用いた再度の解析を実施した。 既報を調査し補体関連遺伝子、炎症・代謝関連遺伝子、糖尿病関連遺伝子の一覧を作成、更に先天性腎尿路異常(CAKUT)関連遺伝子の一覧を作成し、これらの含まれる遺伝子についての絞り込みを実施した。その結果、80例のうち2-3割程度に腎臓病に関連するlikely pathogenic/pathogenicな1塩基多型が存在することがわかり、また糖尿病性腎臓病に関連する可能性があるいくつかの構造多型が抽出された。構造多型についてPCR法により実際に存在することの確認を行うとともに、他コホートでのこれらの構造多型の頻度調査を行ったが、他コホートでの糖尿病性腎臓病該当症例が少なかったため、更に別のコホートでの頻度調査も実施予定である。 今後、構造多型をもったリコンビナント蛋白の発現・精製、腎臓培養細胞への添加などを行い、in vitroにおける機能解析を遂行するにあたっての予備実験も、以前に引き続いて実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
in vitroにおける機能解析を実施する前に、着目している構造多型の頻度情報を得たいと考えているが、その実施に時間を要しているため。また、諸事情により本研究者が研究に従事できなかった期間があるため。
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Strategy for Future Research Activity |
構造多型の頻度情報を得たのち、当該構造多型を導入した細胞において、着目した分子のRNA, 蛋白質の挙動にどのように変化が起きるかなど、in vitroにおける機能解析を遂行する。 腎臓病に関連するlikely pathogenic/pathogenicな1塩基多型が検出された症例と、検出されなかった症例の臨床的背景の違いについても解析を行う。
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Causes of Carryover |
2022年度に研究者が研究活動に従事できない期間があったため、次年度使用に繰り越しを行った。遅延している分の研究企画(構造多型の頻度情報の取得、in vitroでの機能解析)を実施するにあたって、使用する。
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