2023 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病性腎臓病の全ゲノムシークエンスデータによるゲノム構造多型解析および機能解析
Project/Area Number |
20K17275
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅原 有佳 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (70841881)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | whole genome sequence / 糖尿病性腎臓病 / 構造多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖尿病性腎臓病は、糖尿病を原疾患として発症する慢性腎臓病である。糖尿病自体が生活習慣病であり、生活習慣の影響はよく知られているが、その遺伝学的素因についての研究はまだ少ない。 本研究では、糖尿病性腎臓病患者計79例の全ゲノムシークエンスデータをLinuxのコマンドラインを用いて解析し、1塩基多型やshort In/Del、さらにゲノム構造多型の検出を行った。既報を調査し、補体関連遺伝子、炎症・代謝関連遺伝子、糖尿病関連遺伝子、更に先天性腎尿路異常(CAKUT)関連遺伝子も含めた一覧を作成した。この一覧に含まれる遺伝子中の多型についての絞り込みを実施した上で、以下の調査を実施した。 1塩基多型・short In/Delについては、pathogenicあるいはlikely pathogenicなものの頻度調査を実施したところ、27例/80例(34%)と、これまで知られているよりも高頻度に認められることが判明した。こういった多型を保持している群と保持していない群では、糖尿病網膜症の有無や家族歴等の臨床情報に大きな差はなく、pathogenic/likely pathogenicな多型の保持を臨床情報から見分けることは困難であるという臨床的に重要な示唆を得た。この結果については、国際学会(アメリカ腎臓学会)で発表し、論文投稿準備中である。 また、ゲノム構造多型については糖尿病性腎臓病発症や本疾患関連表現型に関連する可能性があるいくつかのものが検出された。これらの一部についてはlong PCRによるverificationも実施済みである。他の大規模コホートにおける頻度調査を依頼中であり、その上で論文投稿予定である。
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