2023 Fiscal Year Annual Research Report
リソソーム機能不全としての肥満関連尿細管症の病態解明
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20K17279
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
南 聡 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任助教(常勤) (00791592)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 肥満関連尿細管症 / リソソーム / オートファジー / TFEB / 近位尿細管細胞 / FGF21 / リソソーマルエクソサイトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究により肥満関連尿細管症の病態においてはリソソーム機能低下によるオートファジーの停滞が生じていることを明らかにしていたが、本研究ではこの自らの知見をさらに発展させ、下記の2点を明らかにした。 1)TFEBが肥満関連尿細管症において果たす役割の検証 肥満関連尿細管症の病態においてリソソーム機能低下が生じるという自らの知見に基づき、リソソーム生合成のマスター制御因子であるTFEBが肥満関連尿細管症において果たす役割について検討した。その結果①肥満関連尿細管症ではTFEBが活性化すること、②その分子機構として飽和脂肪酸がRheb非依存性Rag GTPase依存性にmTORC1を抑制する作用によること、③TFEBの活性化はリソソーマルエクソサイトーシスの活発化、引き続くリソソーム内部に蓄積した未消化物の積極的な細胞外への排泄を誘導することによりリソソーム恒常性維持に働くこと、④TFEBのリソソーマルエクソサイトーシスを介したリソソーム恒常性維持機構は肥満関連尿細管症に合併した急性腎障害に対して保護的に働くこと、を明らかとした(JCI insight, 2023)。 2)肥満関連尿細管症においてオートファジーの停滞に対抗する機構の解明 これまで肥満関連尿細管症においてオートファジーの停滞に対抗しうる機構については不明であったためその機構の解明を行った。その結果肥満関連尿細管症ではオートファジーが停滞することにより、抗老化・抗肥満因子としてよく知られているFGF21の産生が尿細管細胞において亢進し、さらに産生されたFGF21がオートファジーの停滞を改善することにより肥満関連尿細管症を改善することを明らかとした(Autophagy, 2024)。
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[Presentation] FGF21とオートファジーは協調的に加齢や肥満による腎臓病進展に対抗する2023
Author(s)
山本 毅士, 南 聡, 酒井 晋介, 高橋 篤史, 難波 倫子, 松田 潤, 余西 洋明, 中村 隼, 前田 志穂美, 松井 翔, 河合 秀亮, 高畠 義嗣, 猪阪 善隆
Organizer
第66回日本腎臓学会
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