2020 Fiscal Year Research-status Report
ヒストン修飾による腹膜中皮細胞の老化を介した腹膜線維化の機序の解明
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20K17284
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
前田 和也 広島大学, 病院(医), 助教 (60832540)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | MLL-1 / H3K4me3 / p16 / 細胞老化 / 腹膜線維化 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究によってメチルグリオキサールで刺激をした腹膜線維化マウスでは、ヒストンメチル化酵素(MLL-1)の発現が上昇しており、それに伴ってヒストンのメチル化が進行し(H3K4me3の発現行進)、P16の発現が亢進していた。つまり腹膜の線維化にP16による腹膜細胞の老化が関連していることが示唆された。 反対に、MLL-1阻害薬を腹膜線維化マウスに投与することで、H3K4me3を低下させ、P16が低下することで腹膜の肥厚や炎症細胞の浸潤や線維化マーカー(α-smooth muscle actin、collagen1,3)、マクロファージの発現が低下した。 また、腹膜平衡試験においては腹膜透過性の亢進(D/P BUN)が抑制され、形態学的だけではなく腹膜機能も改善していた。 これらより腹膜線維化マウスにおいて、P16を介したストレス誘導性の腹膜中皮細胞の老化が線維化に関与しており、H3K4me3によるP16の転写活性を制御することで腹膜線維化を改善することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究により動物実験において、P16を介したストレス誘導性の腹膜中皮細胞の老化と腹膜の線維化の関連について示すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は細胞実験としてTGF-β1でヒト腹膜中皮細胞(HPMC)刺激し、H3K4me3、P16、線維化の発現を検討する。また、MLL-1阻害薬によってこれらの発現が低下するかについても確認する。
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