2022 Fiscal Year Research-status Report
プロサイモシンα由来ペプチドによるシスプラチン誘発性腎障害の新規予防法開発
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20K17287
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鳥越 健太 長崎大学, 病院(医学系), 講師 (90867532)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プロサイモシンα / 急性腎障害 / シスプラチン腎症 / 薬剤性腎障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
シスプラチンは抗がん薬治療のkey drugだが、シスプラチンによる急性腎障害やその後の腎障害遷延によって使用が制限される事があり、画期的な腎障害予防法確立が望まれる。プロサイモシンαは細胞の自己保護、生存に係る核内タンパク質であるが、このプロサイモシンα由来ペプチド(P6Q)が脳梗塞による神経細胞死を抑制する事が報告されている。脳梗塞による神経細胞障害とシスプラチン誘発腎障害による尿細管細胞障害のメカニズムは共通するものが多く、本研究はこのP6Qがシスプラチン誘発急性腎障害を予防し得るか、またその機序を解明する事が目的である。これまでの検討から既にラットにおけるシスプラチン誘発急 性腎障害の腎障害のピークを抑制し得ることを明らかとし、その機序として同様のモデルにおいて尿細管上皮細胞におけるAktリン酸化増強によるミトコンドリア経路のアポトーシスを抑制を確認している。 P6Qの長期的な効果を確認するため、シスプラチン投与後の腎障害のピーク後の経過を確認した。これまでシスプラチン投与5日目をピークとする腎障害をP6Qが抑制する事を確認しているが、投与14日目では腎障害は改善傾向となり、P6Qの投与の有無にかかわらず同程度になっていた。21日目まで確認していたが同程度であった。過去の報告ではAKIの腎障害の重症度を抑える事により長期的には腎線維化の程度への差があるとの報告もあるが観察期間では確認できなかった。観察期間をさらに長期とした場合に影響がある可能性はあるが、今回の検討ではそこまでの追跡は行う事ができなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りin vivoモデルを用いた実験としてP6QがAktリン酸化を介した抗アポトーシス作用を発揮し急性腎障害を抑制する事が確認できているため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの解析でP6Qのシスプラチン腎症への腎保護効果とAktを介した機序を明らかにしているが、近年P6Qの細胞保護効果にMMP-2、MMP-9の関連が報告されており、本研究でも解析を行う。
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