2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K17289
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
日高 義彦 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (40624713)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 補体活性化 / 補体制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
補体活性化アッセイ系の確立を目標として実験を開始した。本研究は、急性相タンパク質として知られるペントラキシンファミリー(CRP、SAP、PTX3)を介した補体反応に着目している。CRP、SAP、PTX3はいずれも補体古典経路を活性化し異物排除に働くが、一方でCRPとPTX3は補体制御因子であるComplement factor H(CFH)を介した作用も有している。このCRPやPTX3と補体系の相互作用を利用して補体古典経路から第二経路を経た終末経路の活性化を誘導し、第二経路の活性化産物Ba、終末経路の活性化産物sC5b-9、CFHなどによる補体制御の産物iC3bを、それぞれELISA法にて測定する。まず、比較対象データのひとつとして、健常者の血清・血漿検体を対象とし、Ba、sC5b-9の測定を行った。データ収集とともに、以前から我々と共同研究を行っている別のグループで測定した同項目の測定値と比較検討し今回の実験で手技的な問題がないことも確認した。また、補体第二経路から終末経路の補体活性化スクリーニング法であるウサギ赤血球を用いた溶血アッセイを行っているが、安定した再現性のある結果が得られておらず、手技の見直しや改善点などの検討を行っている。それと同時に、iC3bの測定に向けて準備を進めており、また、本データには比較検討可能なデータがないため、同一検体の複数回測定により再現性を評価することとしている。固相化CRPにより補体活性化を誘導する無細胞実験系については、CRPのプレートへの固相化条件を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため、新規実験手技の習得や物品・試薬等の入手に予定以上に時間を要したため。また、予想された実験結果と異なる部分において、実験の再評価や実験方法の変更に時間を要したため。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト血清・血漿検体でのBa、sC5b-9、iC3bの測定データを得た後は、ペントラキシンファミリーを介した無細胞実験系での補体活性化系の確立を目指す。CRPやPTX3をプラスチックプレートに固相化した後、血清・血漿を加えて補体古典経路を活性化させ、対象検体の補体制御状態を評価する。補体活性化の指標としてBaやsC5b-9を、補体制御の指標としてiC3bを、それぞれELISA法にて測定し、検討する。
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Causes of Carryover |
今年度に実験で用いた物品や試薬等は、前年度までに購入したものを使用した部分があるため。
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