2021 Fiscal Year Research-status Report
胎生臓器ニッチ法による腎臓再生に最適なヒトiPS細胞由来ネフロン前駆細胞の探索
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20K17296
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
田尻 進 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50646362)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 多能性幹細胞 / ネフロン前駆細胞 / iPS細胞 / 腎臓再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①最適な分化誘導法の検証、②Sorting法の開発、③移植時の細胞調節法、④打ち込む細胞の安全性の確認、⑤移植後の評価といった項目でなりたっている。下記に項目ごとの進捗状況を簡単に記載する。 ①多能性幹細胞(iPSCs)からネフロン前駆細胞(NPCs)への最適な誘導法の検証;iPSCsからNPCsへの誘導法として、Taguchiら、Morizaneら、Takasatoらが用いた方法を検証した。このうち、効率よくNPCsへの分化誘導可能であったTaguchi,Morizaneらの方法に絞って検証を行った。昨年の検証において、NPCsの誘導はTaguchiらの方法を用いて行うことにした。 ② NPCsの適切なsorting法に関して;従来のセルソーターを用いたSortingは、時間がかかるうえに、細胞に与えるダメージも大きい。申請者らは磁石つき抗体を目的細胞に付着させ、磁石を用いた簡便なSortingで、短時間で効率よくNPCsを純化することに成功した ③ 移植時の細胞調製;移植の際、細胞をガラス管を用いて、胎仔後腎へ投与することが必要になる。移植は、手技的に難易度がたかく、マウス胎仔後腎の個数も限られているので、ヒトiPS由来NPCとマウスの後腎に含まれる細胞が後腎内で相互に影響し合い、ヒトとマウスの細胞からなるキメラ腎臓が再生できるのか検証するには、不向きである。そこで申請者は、in vitroで簡便に検証できる実験系の立ち上げをおこなった。具体的には、マウス後腎をバラバラにし、そこにヒトiPSC由来NPCを混ぜ、遠心し、凝集させることでより簡便に、より必要細胞数が少なく、キメラ腎臓をつくることができないか、検証する方法である。 ④⑤に関しては今後の推進方策で述べる
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者の目指す腎臓再生法に適切なiPS由来ネフロン前駆細胞の誘導法を決めることができ、抗体つきマグネットを用いてネフロン前駆細胞を効率よくソーティングする手法を開発した。実際に胎仔腎に打ち込む前段階の検証として、in vitroで検証可能な実験計画をたて、現在取り組んでいるところである。
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Strategy for Future Research Activity |
④打ち込む細胞の安全性の確認、⑤移植後の評価に関して述べる。
④打ち込む細胞の安全性の確認 iPS細胞から分化した細胞を打ち込む際に、残存したiPS細胞が打ち込んだ部位で腫瘍化するリスクがある。またiPS細胞由来の腎臓前駆細胞が腫瘍化しないことも確認する必要がある。iPS由来のネフロン前駆細胞を免疫不全マウス皮下に投与し、腫瘍化しないことを確認する ⑤移植後の評価法 キメラ腎臓内でホストの細胞と移植したヒトiPS細胞由来の組織を見分ける手法を確立する。具体的にはGFP遺伝子を導入したiPS細胞を作成し、分化誘導産物もGFPを発現しているか確認していく。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の影響により、使用を検討していた試薬の購入ができなかったため。
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